「支え合いともに成長する」長井市の農業

長井市の農業について

長井市は山形県南部に位置し緑豊かな山系に囲まれています。市の中央部には朝日山系を源とする野川、南部には吾妻山系を源流とする最上川、飯豊山系を源とする白川が合流している「水」の豊かな土地です。

この清らかな水をもとにした水稲単作地帯でしたが、政府の生産調整が始まり(減反による補助金の段階的な削減・廃止、農家の自立的な経営判断を重視する政策)お米だけでなく露地やハウスの野菜、果実の栽培を手がける農家さんが増えました。

長井市農業

長井市で代々農業を営む梅津昭宏さん(58歳)と息子さんの梅津光宏さん(34歳)にお話を伺いました。昭宏さんの代からお米だけでなく野菜を手がけるようになり、14年前に光宏さんが後継ぎとして就農してから、ハウスの棟を増やしました。光宏さんも今後の規模拡大に積極的な姿勢です。

1月末、梅津さんの8haある田んぼは雪で真っ白です。ハウスでは〝サラダワサビ菜〟を作っています。〝サラダワサビ菜〟は収穫が次々にできて、燃料費もあまりかかりません。このハウスではミニトマト(3月から10月まで)と年間2作を組み合わせて作っています。長井市には年間をこの2作で回している農家さんが多くそれぞれに組合があるそうです。

全国的な傾向と似て、高齢化、後継者不足、就業人口減少など課題がありますが、耕作放棄地は少なく、農家さんの横のつながり(組合)や世代を超えた交流、やる気のある若手の農家さんの活躍も頼もしく、高齢の農家さんが長井市の農業を〝まかせていける〟土台があります。農家さんの平均年齢は68歳。長井市の農業の未来を考えると人口を増やしたいところです。市では新規就農者の受け入れ体制を整えています。

初めての農業・新規就農者の受け入れ

長井市の農業

「一人で来たとしてもここにいる人たちと仲間になり一緒にやることもできます。たとえ一人でも作業量に見合った土地、作物を選べばできます。役所だけでなく組合の仲間から情報をもらい経験しながら経営を軌道に乗せていってほしいです。」と昭宏さん。息子の光宏さんも同じ気持ちです。「長井市の農家さんの共通するのは経営面積をもっと広げたい一方で高齢になった時に誰があとを引き継ぐか…およそ72歳〜73歳がお米を作れるボーダーラインといわれます。その後は人に貸すことが多くなるでしょう。そこの担い手に新規就農の方が入ってくれることが、長井市の農地を守るベストな未来です。」

6年前に新規就農した鈴木さんご夫妻もミニトマトの組合に参加しています。鈴木さんご夫妻も梅津さん親子に困ったときは相談しながら歩んできました。新規就農ならハウス栽培で10a(1000平米)くらいから始めると、面積が少なくとも収穫が安定するそうです。お米は広い農地面積、高額な機械が必要なため新規就農者にはハードルが高く、そのことについて光宏さんは「最初は地元の農家さんがサポートし、作業を覚えながら少しずつ自分のものにしていくといいと思います。」農業を続けるためには、その土地に相談出来る人がいると大変心強いものです。

情熱と闘い———成長し続ける農家へ

強い農家さんになるにはどうしたらよいのでしょう。昭宏さんに秘訣を伺いました。「経営的に伸びていく条件のある農家さんだと思います。収入や労働効率のいい野菜の年間の組み合わせがうまくいくことです。また傍らでよりいいもの、新しいものを試験し、探りながら経営していくのも大事です。」自然の影響をもろに受ける農業ですが、成功している農家さんほど天候を言い訳にしないといいます。

「自然に対して受け身でありながら攻める。今出来る事で最大限に対応していく。それでうまくいかなかったとしても、それは経験値になり自分の力になっています。」と光宏さん。ハウスが突風で飛ばされることや降り積もる雪の重みでつぶれてしまったこともあるそうです。それを天候のせいにせず、良い改善方法を生み出しました。それが技術力となるのです。異常気象を真の原因にしてしまっては、アイディアは生まれません。適応する対策をしていくことなのです。

農業の仕組みが、いま大きく変わろうとしている時期。昭宏さんは「TPPの問題もありますが、野菜でいえば関税は3%で、もとから自由競争です。輸入される時期は需要期でなく、輸入野菜に消費者の目は厳しい。ですから国内需要だけで考えれば比較的安定していると考えます。」お客さんの声にも耳を傾け、高い生産性を出すために、様々な品種の試験、作りやすさ、美味しさを模索しています。お二人の穏やかな人柄の中にある闘う意欲。それは農業への情熱ではないでしょうか。「来年のことを見越せない部分もある。だから単調な作業にはならない。そこに農業の面白さがあります。」と光宏さん。

長井市農業

光宏さんは3人のお子さんがいます。「子どもを育てることへの責任感…そのためにも仕事を一生懸命やらなければいけない。次々変わる農政にも対応していかなければ。守るものがあるから攻められる。〝あいつになら任せられる〟といわれる人間になって、もし空いた農地がでたら〝自分がやります!〟と二つ返事で答えられるようになりたい。なぜそう思うのか…それは地域に生きて活かされているからです。地域の農業にも目を向け、大事にしていきたい。」この土地にどっしりと根を張る〝農業人〟の気合い。光宏さんの言葉から溢れていました。

梅津さん親子のお話を聞いて、長井市の農業は〝支え合い共に成長する〟環境があると感じました。長井市に根を張る就農者が増える事をなによりも長井市の農家さんが望んでいるようです。

長井市
長井市は山形県南部に位置し緑豊かな山系に囲まれ、中央部に野川、南部に最上川、そして白川が合流する「水」の豊かな土地です。最近では、米だけでなく露地やハウスの野菜、果実の栽培を手がける生産者さんが増えています。