背景と課題
生産管理・資材管理・衛生管理の整備を徹底し、トラブルを回避する
ナカスジファームの中筋秀樹さんは、父親から経営を引き継いでからこれまでの10年間、経営を進めてきました。農園を経営していると、毎年なにかしらのトラブルが起こります。ハウスの開け閉めがきちんとされていないことで野菜にダメージを受けたり、安全面では、火事が起きたりしたこともありました。そうしたトラブルを書き出し、原因を確認したところ、生産管理・資材管理・衛生管理など、あらゆる「管理」が整備されていないといった共通のテーマがみえてきました。

実際に行った対策
コアメンバー=選抜された従業員 が中心となり、働きやすい環境を整え、経営を向上させる
まず行ったのは、経営理念を定めること。理念は、「農」を志す我々が農業としてあるべき姿を創造する!!使命は、「食」を担うリーダーの育成により農業を発展させる。また社是は、国際社会に重要であり必要とされる農業経営をします。社訓は、生産、販売、環境、人、自然の5つのテーマで構成されています。経営理念を掲げたことで農園の向かう方向性を全員で共有し、ケガや事故が起こらないように従業員の安全面に配慮しながら、生産工程管理を進めました。その結果、品質の安定や収量の安定につながり、規模を大きくすることができました。
現在はGAP※1取得に取り組んでいます。自農園の管理体制を強化でき、取得することは従業員の励みにもつながります。万一、本年度取得できなくても、どこを改善すると良かったなど、不足している点を知ることができ、プラスになると受け止めています。同時に「農作業安全管理マニュアル」作成にも取り組んでいます。すべての取り組みの目的は、従業員が働きやすい環境をつくること。働きやすい環境を整えることが、結果的に経営のプラスになると確信しているからです。
※1 GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のことです。

また、一連の取り組みは、中筋さんが先頭に立って行うのではなく、コアメンバー6名(従業員から選抜)が中心となって実施しており、従業員が自発的に動けるような環境づくりに配慮しています。経営者はどこにでも存在します。そして、農業をしてくれる人も同じです。しかし、地域を引っ張る人材や、片腕となって農園を引っ張ってくれる人材は少なく、農園の運営を成功させることと同時に、農業という職種自体を支える人材を育てることを目指しています。
コアメンバーには、予算的な自由度を与え、自ら判断できる環境を築くことからはじめました。その1つが予算の裁量を持つということです。そのお金は、スキルアップのためや、管理体制が整っていないことによって起こるトラブルに対応するためなど、使う用途やタイミングは任しています。それぞれのコアメンバーの管理下に、多くの従業員がいるので、コアメンバーの立ち位置を確立したものにするためでもあります。
取り組みの結果
ものづくりの楽しさを感じながら働いてもらう

従業員には、目的を伝えながら、達成感を感じてもらえるように進めています。過去の生産記録を残し、管理するようにしたことで、次年度に活かせるようになりました。このような取り組みは、モチベーションUP に。また、トラブルが起きたときの対処がスムーズにできる体制が整ってきたので、トラブルを事前予測する体制づくりを目指しています。お客様に美味しい野菜を届けるためには、作り手の気持ちが一番大切。経営理念に掲げてある各項目を読み返しながら、その判断は理念から外れていないかを確認することを忘れないようにしています。
その後(会社・従業員の声)
農業生産以外に地域支援を視点に据えた活動もしており、法人化2期目。「近隣の農作業請負」は、その日だけのチームをつくって作業します。登録会員が人手を必要とするときは、割引価格で依頼できる仕組みとなっており、お互いに助け合える体制。また、「新規就農サポート」は、新規就農の人にトラクターを貸し出し、購入できるまではレンタルという形で利用できるようにする取組です。利益の残らないような価格設定になっています。こうした地域の方々と一緒に行う活動を通じて、この地での農業が今後も継続できるように支えています。

