背景と課題
長期雇用を視野に入れた、モチベーション向上につながる職場環境づくりに取り組む
京都府久世郡にて九条ネギを中心に生産しているロックファーム京都株式会社。代表取締役の村田翔一さんは元消防士。以前から母親が営む農園を手伝っていましたが、専業農家になろうと消防士を辞めて就農した1年後、2019年1月にロックファーム京都株式会社を設立しました。現在、社長以下、社員5名、パート・臨時8名、実習生6名の20名が常勤で働いています。村田さんが現在課題と感じているのは、社員のモチベーション維持です。農業がやりたくて入ってきてくれた従業員に、これから3年、5年、10年と長く働いてもらう中で、やりがいがうまれるような職場環境を整え、働くモチベーションを高く維持していくようにすることがより一層必要と考えています。

実際に行った対策
自発的に考えて行動できる人材を生み出した、任せることから始めた人材育成
昨年法人化を行い、4月に入社したばかりの従業員がリーダーとなりチームを動かしています。わからないことに関しては村田さんに聞いても構いませんが、各自の裁量で判断してもらい報告を受けるスタイルを選択しています。それは、村田さん自身がネギ農家を始めた直後、栽培方法がわからない時期に、師匠となってくれた方と出会ったことがきっかけです。栽培方法について、その方から教えてもらいながらネギ栽培に取り組み、失敗を重ねながらも学ぶことが多かった経験から、従業員自身にも学びながら成長してもらうための近道が、「従業員に任せる」ということだと、考えたからです。
知りたいことがあるときは好きなところに視察に行って、自分自身で学んでくることを推奨しています。ロックファームは全国の農園とも交流し、社員を生産量の高い淡路や徳島の葱の生産農園へ訪問させ、情報をフィードバックさせました。結果、葱のスペシャリスト集団になり生産の効率に関してトップレベルに成長しました。外で学ぶことによって、新たな出会いや情報を入手することにつながります。自分自身がワクワクするようなことに取り組んでほしいと従業員に伝えています。

長期雇用を達成するため人材育成を行う一方で、従業員の職場環境を整え、働くモチベーションを高める必要性も村田さんは感じていました。職場環境を整えるため、休日や休暇の確保が重要と考え、就業規則の作成に取り組みました。就業規則上の休日と休暇の設定にあたっては、従業員各自がまず作付け計画を作成し、年間休日カレンダーに反映します。基本として土曜日を定休、日曜日は隔週休みとして月6日の休みを確保。冬場は週休2日、農閑期には休日を増やすなど、現場の従業員が中心となって決め、その内容を各リーダーが確認し作成していきました。
また、就業規則の作成だけではなく、従業員の働き方に対する習慣付けも重要と村田さんは考えています。日々の時間管理に関し、定時で終わるような意識付け、習慣付けをするよう、社員に考えながら働いてもらっています。農業が好きな人が集まってきているので、好きなように働いてもらっていますが、いずれ後輩の指導をするときが来たときのため、今から無理をしない働き方の習慣をつけることが、結果的に長期雇用につながると考えています。
取り組みの結果
衆知を集めて挑んだことで生まれた強い組織

社員に任せる覚悟をし、業績悪化を覚悟した時期もありましたが、年度末には過去最高益となりました。従業員からは「社長が任せてくれたから」という声を聞くことができて、信じて任せてよかったと村田さんは言います。今年から京都の亀岡市に第2農園を始動させます。地域のつながりが生まれ新しい販売ルートもできました。他社との差別化を図るため立ち上げからブランディングに予算をかけ、イメージ作りにもこだわります。周囲からは何か新しい面白いことをする農園だと、期待を集め、雇用面においても効果を出しています。
その後(会社・従業員の声)
社内の未来開発部では葱に代わる品目のテスト栽培や直売事業、飲食店など実現可能なことには積極的に取り組み、トライアンドエラーを繰り返しています。人と人をつなぐことが好きな村田さんは跡取りのいない農家さんや、販売先、経営の上手く行かない農家さんの手伝いなどをして、農業を別の視点から盛り上げる事業もやりたいと思っています。次の世代が出てこないと地域の農業が続いていかない。地域の模範となるように、次の世代を引っ張っていけるように、農業を魅力ある経営体にしたいと取り組んでいます。

