背景と課題
雇用のミスマッチを防ぐために、取り組み始めたルールづくり。
7年前にべじたぶるぱーくをスタートさせた植田歩さんは、奥さんの絵美さんと業務を分担しながら、野菜の生産や加工を行ってきました。事業の拡大に伴い、従業員の雇用を始めた植田さんですが、実際に何人かの従業員を雇用する中で、思っていたよりも物事の考え方や仕事への思いなど、人それぞれに違いがあることに気づかされます。中には、事前に伝えておけばよかったと思うようなことも多く、面接の段階で説明できるルールのようなものがあれば、その段階でお互いに確認することができて、働き始めてからのギャップのようなものを、軽減できるのではないかと考えました。そういったルールのベースとなる就業規則の作成に取り組むことを決めました。

実際に行った対策
ルールがあることで働きやすい職場環境に、との考えから、面接時に提示できる就業規則作成に取り組む。
就業規則作成にあたり、まずは一般的に他社で利用されている就業規則をベースに、実際に起きた事例などを加えながら社労士さんに相談しながら作成することにしました。例えば、台風が発生した場合に、いつの時点で休みを判断するのかを事前に決めておくことや、通勤や業務中のほ場への移動に必要となるマイカー運転中に事故が起きた場合に事故の補償はどこまで会社が負担するのか、現時点で想定される事柄を1つ1つ決めていきました。
マルシェや朝市などへ野菜を販売に行くときのガソリン代は会社が支払うとか、現場が離れているので必要となる携帯電話に私用の電話が入ったときは、休憩時間に折り返しかけるようにしてもらいたいなど、経営者側が感じることを、押し付けることのない程度で、面接の段階からこうしてもらいたいと伝えて、同意してもらえる人といっしょに働きたいと考えています。就業規則作成の際に、難しさを感じたのは、服務規程関連の項目でした、社内情報を許可なく個人のブログに書いてはいけないとか、レシピを開示してはいけないとか、厳密にいえば避けたい項目ですが、そこまで規則の中で細かく定めることは、やりすぎに感じたと植田さんはいいます。

就業規則は、働く人を守るために作ろうとしているルール。行き過ぎないようにしていきたいとも考えています。例えば、遅刻したいときや休みたいときには事前に言ってもらえたらいいと伝えたい。しかし「いつでも言ってくれれば、休んでいいよ。」と言いすぎると、必要とされていないと従業員側に思われてしまうかもしれない。そんなすれ違いが起こらないように、ひとつひとつじっくりと考えながら作成していきます。
以前、働いていた運送業では、事故に関してうるさく言われることは当然でした。運転免許が無くなったら仕事ができなくなる職場のため、飲酒に関して厳しいことはもちろん、睡眠時間なども報告する環境でした。そうした厳しい環境は、従業員を守るためのもの。そう理解していた経験から、農業で事故が起こりやすいのは、そういった安全性を重視するような環境づくりが進んでいないからかもしれないと考えました。農業も身体が資本なので、事故やケガなどを防ぐために、守ってほしいことを事前に伝えないといけない。そう考えて働く人を守れる就業規則をつくりたいと取り組んでいます。

取り組みの結果
自社の色を知ってもらい、共に働きたい
就業規則は、社労士さんと相談しながら作り直し、1つの形となり、届けを出す段階です。作成した就業規則は、就業規則だけでは補えない点を記載したべじたぶるぱーくからの「お願い」と併用して、面接の際の会社説明に利用しています。細かいルール説明を面接時に行うことで、当初の問題としていた雇用のミスマッチもなくなりました。以前雇用していた従業員1名もまもなく独立して新規就農するので、新しく独立予定の研修生を雇用予定。その際にも、事前に就業規則を提示し、共通認識を取ってから業務を進めていきます。

その後(会社・従業員の声)
今後は、農作業の工程を難易度毎に分割したいと植田さんは考えています。パート1年目の人には簡単は作業を中心に実施していただき、2年目、3年目の人には、少し難易度の高い作業を担当してもらうことができるようにすることで、それぞれが目標をもって業務に取り組んでもらうことができ、やりがいや生産性向上にもつながることを目指しています。いずれ分割した工程に合わせた求人を出すなど、効率的な農業経営に取り組んでいきたいと考えています。

