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適材適所の専門性向上により、人材の定着へ

農業経営者の方に対し、農業の雇用管理の知識・経験が豊富なアドバイザーが無料で研修会や個別相談を行います。

適材適所の専門性向上により、人材の定着へ

背景と課題


経営難を経験し、新規事業へ。雇用や人材育成、労働環境改善に取り組む


平田観光農園は、果物の栽培・販売に加え、果物狩りなどの観光事業にも長年力を入れて取り組んできました。しかし2000年ごろになると、個人消費の冷え込みやお土産需要の減少により、徐々に経営難に陥っていきました。また、その頃の従業員は事務職の社員が2人、それにパートが何人かいるだけで、その先を任せられる社員がいませんでした。2005年、経営を立て直すために家業を継いだ社長の平田真一さんと常務に就任した加藤瑞博さんは、客単価を伸ばすため、「体験を売る」ことをテーマに新たな事業を展開します。同時に若手社員を採用し、農業だけでなくサービス業としての側面からも人材育成を進め、労働環境を整えることで人材の定着を図りました。





実際に行った対策


新事業に伴い、適材適所に人材を配置。従業員の独自性に任せたトライ& エラーによる人材育成を実現


果物栽培は従来通り行いながら、農園で採れた果物を使ったスイーツを提供するカフェや、森の中で薪割りやダッチオーブンを使った料理作りを楽しめる体験施設「ダッチオーブンの森」などをオープン。アウトドアブームを先取りし、非日常的な体験を演出することで客単価を上げるという試みを成功させました。





また、オープンにあたり、若い人材を多く採用しました。カフェや施設は、作物を育てる農業とは異なり、お客様を相手にするサービス業です。そこで、栽培経験は少なくても、コミュニケーションが得意な若い人材を採用し、彼らに栽培を教えるという方法を選択しました。そのため、同園の従業員は、栽培だけではなく企画、販売など幅広い業務に携わります。


農園にカフェや体験施設を併設した同園に魅力を感じた若い人を中心に、募集をすれば人材が集まり、求人面では特に苦労を感じなかったそうです。ただ最初のうちは、「農業だけをやりたい」と同園を去ってしまう人もいました。そこで「当園には栽培、加工、販売とさまざまなフィールドがあるので、コミュニケーションが苦手なら栽培や加工をメインに動いてもらうようにしました。農業もサービスも、というマルチな人材を求めるより、適材適所を心がけています」と加藤さん。現在では人材の入れ替わりはそれほどなく、大半の従業員が約10年という長い間、同農園に勤めています。また、同農園でノウハウを学び、結婚を機に独立した人もいます。





こうした事業自体は加藤さんのアイデアですが、運営は従業員同士でつくったプロジェクトチームに任せています。これは、農業歴が浅く、よりお客様目線に近い若手に任せるほうが、斬新なアイデアが生まれるだろうという狙いからです。


平田さんは、「たくさん失敗しても、一度の成功から何かをつかんでくれたらいい」というスタンスです。自らの仕事を手本として見せて、何事にも積極的に挑戦させ、成功すればほめる。その繰り返しで人材育成を行なっています。給与についても、勤務年数に関わらず、結果を出せば評価されるという完全実力主義です。プロジェクトが成功すれば、その頑張りは賞与で還元されるため、社員のモチベーションアップに繋がっています。


取り組みの結果


勤務時間と休む時間とのバランスを守る


同園は、1 年の間に農繁期と農閑期があります。とくに春から秋にかけては忙しく、土日祝が必ずしも休みになるわけではありません。農繁期にはできるだけ勤務をすることになりますが、農閑期には、ローテーションを組みしっかり休暇をとるというメリハリをつけた働き方をしています。これが可能になったのも人材が定着し充分な人員が配置できているからです。今では決まった日数を年間休日として確保できるようになりました。就業規則を設定し、有給についても従業員に周知。積極的に休暇の取得をすすめています。





その後(会社・従業員の声)


社員の1人が幹部候補生として、行政が主催する育成プログラムに毎週参加しています。また、子会社「株式会社イチコト」にも、社員が代表として就任。年齢はどちらも30 代半ばです。役員会にはこの2 人も加わり、平田さんと加藤さんと共に同園の経営について話し合っています。このように世代交代に備え、人材育成や研修制度の充実化を図っています。「単に” 農業は厳しいもの”という考えは通用しません。当社も、週休二日にできる体制をつくらなければと考えています」と加藤さん。今後もより安定した経営と勤務体制を目指しています。