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子育て中の女性が安心して働ける職場づくり

農業経営者の方に対し、農業の雇用管理の知識・経験が豊富なアドバイザーが無料で研修会や個別相談を行います。

子育て中の女性が安心して働ける職場づくり

背景と課題


家族経営から規模拡大へ従業員が安心して働く環境つくり


株式会社カネイファームはもともと家族経営の個人農家で、繁忙期のみパート従業員を短期雇用していました。しかし、経営規模が毎年拡大する中、従業員を教育しては慣れた頃に契約が終了するという繰り返しでは生産効率が上がりません。





そこで、代表取締役社長の矢野正英さんと専務で奥様の望美さんは、人材の定着を図るため、正社員や無期雇用のパート従業員の採用を始めます。同時に法人化にも踏み切り、福利厚生を整備して従業員が安心して働ける環境づくりを進めてきました。とくに、同社のある藍住町は徳島市のベッドタウンで、若い家族の流入が多い地域です。パート従業員も子育て中の若い女性が大半のため、子育てをしながら無理なく働くことができる環境づくりに注力してきました。


実際に行った対策


レタスなど葉物野菜の収穫量を、シフトに合わせて従業員が決める方式導入


カネイファームは、産前産後休暇、育児休暇の整備から始まり、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ女性の働く環境を整えてきました。その取り組みの一つが、「収穫を袋詰め作業に合わせる」という方法です。もともと、袋詰めを担うパート従業員の勤務時間は8時間が基本で、希望に応じて個々に遅出や早退などの対応をしていました。


しかし、インフルエンザの流行や学校行事への参加などにより従業員の休みが重なると、現場の人手が足りなくなります。そこで、受注数量を予測して一週間単位で収穫量を決定し、一日の収穫は出勤している人員で袋詰めできる量にしました。パート従業員の休日である祝日や急な欠員がある日は収穫量を減らし、前後の日に割り振ることで、パート従業員が休みやすい環境と安定した生産体制が生まれました。





現在は、パート従業員の勤務時間を、全員が出勤可能な8時半から15時までに固定。一日の収穫量はその都度従業員同士で話し合って決定しています。急な休みへの寛容な雰囲気作りも大切です。「会議の時には、『休んでも大丈夫。出勤できるときは一生懸命仕事をしてね』と伝えています」と望美さん。自身が子育ての真っ最中であり、子育てをしながら働く大変さを実感しているため、「お互いさま」の精神を従業員に受け継いでいます。


また働きやすさを求め、急な欠員に備えて作業ローテーションも行っています。同社では、定植や収穫は「生産部」が、袋詰めは「袋詰め部」が担当していますが、どちらの仕事も経験させることで、忙しい時期や欠員が出た日にサポートできる体制を整えています。もちろん、本来の担当業務とは違い100%の作業効率を生むことはできません。そのため、従業員数はギリギリに抑えるのではなく、サポート役が50%の力でも作業が回るように余裕をもって雇用しています。


最近では、県内各地に点在するハウスやパックセンターごとに出退勤システムを導入し、作業を終えたあとは事務所まで戻らなくてもその場で退勤できるようになりました。また、ハウスへの水洗トイレの設置も、女性従業員への気遣いです。「社労士や税理士とも契約しました。一般企業が当然のようにしていることは、うちもやらないと」とお二人。従業員が胸を張って働ける会社にしようと、新たなチャレンジを続けています。





取り組みの結果


想像できなかった「働きつづける」環境


2019年には、正英さんが入院、望美さんが第三子の出産で1ヶ月ほど現場を離れましたが、それでも会社はスムーズに回っていたそうです。現在、ハウスは7号棟まで拡大しています。また、栽培だけではなく、レストランの経営や、県内農家の生産物の袋詰めから販売までをとりまとめて担う「株式会社菜々屋」も設立しました。今年は、正社員に介護初任者研修の資格取得を促し、農福連携を見据えたサポート事業も展開する予定。自社だけでなく地域農業の活性化を目指しています。


その後(会社・従業員の声)


2013年にパートから正社員登用された宮内さんは、3人の子どもをもつママです。第一子が1歳のときに入社し、これまでに2回産前産後休暇を取得しています。「子どもの突発的な熱で保育所から呼び出されることも多いですが、みんなが『いいよ、帰ってあげて』と理解をしてくれることに心が救われています」と宮内さん。現在は、現場作業のほか、女性スタッフの意見調整や事務作業なども行い、部門をまたがって活躍しています。宮内さんの他にも、5名の従業員が産休や育休を取得しながら働き続けているそうです。