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労務管理の基礎は、幹部の意識改革から

農業経営者の方に対し、農業の雇用管理の知識・経験が豊富なアドバイザーが無料で研修会や個別相談を行います。

労務管理の基礎は、幹部の意識改革から

背景と課題


農業に共通する弱点を、自社の強みに変えて人材確保へ


「強い農業は超えていく」を企業理念に掲げる、株式会社くしまアオイファームは、国内外に出荷するサツマイモの生産、加工、販売までを一貫して手がけています。会社の規模拡大に伴い、従業員の雇用を始めましたが、人材の確保が難しい現状にあります。日本の労働基準法では、農業は天候など自然条件に左右されやすい職種のため、労働時間や休憩、休日に関する規定の適用が除外されています。これは、長時間労働も可能となり、残業の支払い義務が無いことを意味します。この背景は人材確保という面では弱みとなり、安定している上に残業代も出る他の業種と比べると、とても勝負にならないこと気がつきました。そこで、他の一般企業に引けをとらない労務管理をすることで人材獲得、定着に繋がるのではないかと考えました。





実際に行った対策


労務管理の意識を社員にも植え付けることスマートフォンも活用して勤怠管理を効率


くしまアオイファームでは、当初は紙のタイムカードで勤怠管理をしていました。ただ、早朝からの作業がある生産部門では、事務所が開く前に作業に移動する為タイムカードを打刻できず、後から手書きで提出することもあり、押し忘れが起きるなどの問題点が多くありました。現在では、スマートフォンのアプリで勤務時間を入力できるように改善し、出勤予定なのに打刻していない人がいた場合にはメールが来るなど、管理しやすいしくみになっています。さらに、連絡事項はアプリのグループ機能を利用したやりとりを行ったり、給与明細もスマートフォンに届くようにして効率化を図りました。


また、「労務」という意識が社内にあまりなかったことで、勤怠管理は後回しにされがちでしたが、勤怠管理も部長職の仕事だと繰り返し伝えることで、意識も変わってきました。


例えば、部長が鍵を持ち従業員が全員集合してから、事務所で打刻を行い現場へ出発することで打刻忘れを防いだり、休みが続いている人がいた場合に「何か悩みがあるかもしれない」と総務に相談してくれるようになりました。





労務管理をしっかりするようになってからは、管理が厳しくなかった頃と比べて、急な休みや無断欠勤が減るなど、向き合った従業員たちの立ち振る舞いも変わった実感があります。有給休暇の取得を可能にするためにも、勤怠管理は大事だと考えました。


また、農繁期と農閑期で仕事量の増減がある生産部と、比較的一年通して安定した仕事量の出荷部と、部署による仕事量がアンバランスな状態でした。例えば残業代が出荷チームは出るけど生産部チームは出ない、となると応援に行きたくないとなってしまうように、部によって残業などの就労規定が違うという課題も見えてきました。そこで、農繁期で生産部が忙しい時は、部を超えて出荷部が手伝いに、農閑期は生産部が出荷部を手伝うことで仕事量のバランスを取るように改善することができました。


部を超えて会社内のバランスをとることで、部署によって残業代の計算の仕方や、所定労働時間の考え方を統一することができるようになりました。就労規定がしっかり決まったことで、ハローワークなどの求人情報で「週◯時間、残業代◯円」と書くことができ、他の業種と同じ土俵で、働き先として選んでもらえるように求人活動にも取り組んでいます。


取り組みの結果


労務管理を武器に自信をもった採用活用





労務管理を整える前と比べて堂々と求人を出せるようになったのをはじめ、従業員の働き方の意識も変わりました。例えば、1 分単位で給料を支払う形のため、打刻をした従業員がだらだらしていると、「打刻したら所定の場所に行くように」と部長が言いやすくなりました。従業員自体も意識が変わり、同じ人員で年々出荷量が増えるなど、仕事が効率化されました。出荷量が増えたおかげで、昇級制を導入し、パートさんや外国人実習生も定期的に昇級でき、モチベーションアップになっていると感じています。


その後(会社・従業員の声)


くしまアオイファームにとって、改善に向け取り組んできた労務管理は、強みの1つになり、農業を経験していなくても入社を希望する人が多い理由にもなっています。入社した従業員から「こんなに(労務管理が)しっかりしている会社で働いたのは初めてです」と言われることもあるそうです。生産だけではなく、何か企画したり、流通のシステムを考えて、この地からどうやって世界へ売るのか、など「新しい農業のありかた」を従業員の方達とワクワクしながら作っていきたいと考えているそうです。