背景と課題
会社の規模拡大を見据え、管理者層を増やすために採用活動に取り組む
2010年頃、株式会社さかうえでは、これまで行ってきた社長1人で会社全体を引っ張っていくような経営スタイルに限界を感じていました。当時、従業員が30人いましたが管理者層がおらず、このままでは企業としての事業拡大など、会社が成長していくためには難しさがあると気づきました。そこで、事業拡大を可能にするためには優秀な人材が必要になると考え、管理者層を増やすため人材獲得に乗り出しました。さかうえが考える優秀な人材とは、経営感覚を持った自立的に働ける人です。そのため、目標に向かって自主的であること採用のターゲットとしたほか、採用活動を始めるにあたり、会社の理念を改めて掲げるなど、戦略的に取り組むことにしました。

実際に行った対策
新たな募集方法を導入し、採用時に農業体験をセットするなど、独自の取り組みを展開。
農業分野の企業が管理者層となる総合職を自社のホームページで募集しているところは珍しく、採用活動を始めてから多い時で年間100人の応募がありました。7割は県外からの申し込みで、全国から人材を集めることができました。しかし、管理者層の募集だったこともあり、農業未経験の人が大半でした。採用したものの、「思っていた仕事と違った」、「思っていたよりきつかった」という理由で辞めていく社員が出てきたため、採用時に農業体験をセットにする方法を取り入れ、入社後のギャップを埋めることができました。
管理者となるために総合職として入社した場合は、まずは一つの作業を次に一つの工程を、その後1作物全行程と予算管理までを担当します。2010年に農業工程管理システムを開発。農作物は生き物なので、適期にやらなければならない工程がいくつもあります。今までの農業は、そのような工程や技術は先輩の背中を見て学ぶ、職人気質なところがありました。しかし、それは人によって習熟度が異なってしまい、習得までの時間がかかります。そこで、学ぶべき工程1つ1つを、説明できる形としてマニュアル化することで、「農業の見える化」を実現することができました。先輩の背中を見ながら工程を覚える必要があったところを、新人でもマニュアルを見ながら作業を進めることができるようになり、教育にかける全体的な時間を短縮することができ、効率化や農作物の安定供給につながっています。

また、新人でも、進捗・課題・予算について議論するミーティングに参加します。考えて発言することで積極的に関わっていくような仕組みを意識して作っています。そしてミーティングの全てに社長が同席しているのも特徴です。社長が同席することで、ちゃんと見てもらえているという意識が生まれ、従業員のモチベーションアップにもつながっています。
社内で行う勉強会は、農業情勢・栽培技術・労務安全・経営についてなど、その時のテーマに沿って社長や担当者が講師になり開催されます。作物を作るための勉強の他に、社長が情勢や経営について、営業マネージャーが取引先や実際に手に取って食べてくれているお客様がどのような作物をどのような形で求めているのかを、農場長が収支表の見方を説明するなど、幅広い内容の研修を行うことで「経営感覚を持った人材の育成」に力を入れています。

さかうえでは毎年、管理者を中心に経営指針書を自分たちで作りあげ全従業員で共有する機会を設けています。自分たちの目標を共有することで部内の結束が高まります。また上司が部下の面談を定期的に行い、目標や悩みを聞くことでコミュニケーションを図り、自分を見つめる時間と思いのすり合わせを行います。さかうえでは「目標管理制度(MBO」を採用しています。
取り組みの結果
若手の活躍により明るい社風に変化
採用にあたっては、地元だけではなく全国に視野を拡げた結果、全国から人が集まり、社内が活性化されて明るい社風となりました。従業員の年齢層も20代から70代まで幅広く、20代が約半数をしめ、平均年齢が38歳と若いのが特徴です。そして従業員の3分の1は女性です。採用を本格的に始めて10年が経過し、その頃に採用した若手が今では頼れる管理者としてみんなを引っ張ってくれています。福利厚生面でも、社内イベントの開催、月に4週4休だった休日を、ここ3年間で4週6休にするなどの改善も行い、徐々に労働環境が整ってきています。

その後(会社・従業員の声)
「社内勉強会や社外研修参加の機会もあり、農業だけでなく経営も学べてモチベーションアップや自信につながる。いつか独立して自分の畑を持ってからも“さかうえ”と関係を続けていきたい」と話す社員もいます。「農業で幸せをつくる会社」という理念を共有し、自身・会社・地域社会の幸せを創るため、一緒に成長できる人材が必要と考えています。引き続き若い世代を採用し人材育成に力を入れていきます。まもなく独立する社員がいます。独立した後も1人の経営者としていい関係でつながることができるネットワークが広がり続けています。

