もともと農家を継ぐ予定はなく、県外で仕事をしてきた高見さん。世代交代で親から声がかかりUターンします。前職で静岡にいる頃、実家のいちごを仕事仲間に贈った際「一度食べたら他のいちごは食べられない」と高い評価を受けました。「当たり前にあるものだったので、まあ、ふつうのいちごくらいに思っていたら、ものすごく凄く喜んでいただいきました」と高見さん。この時の皆さんからの評価が大きな後押しになっています。就農する際に一番に考えたのは家族のことです。月給のサラリーマン生活から、年中無休に近い自営へ。奥様、子どもたちに至っては、住んだことのない島根県への移住です。まずは、安定収入の確保と労働環境の整備が必要でした。そこで、1点集中。通年需要があり、高単価な商品「いちご」に絞ります。
「自分の周りの人が仲良く、幸せに暮らしていけるように」労働環境の整備を進めます。ハウス4棟を増設、畑の整備をし、収穫量を増やすことで、ゆくゆくは雇用につなげたい考えです。当たり前のことですが、と前置きをした上で「自分達が笑顔で幸せでないと満足した顧客サービスも提供できない」と、しっかりと地盤を固め、段階を踏み、地に足をつけた安定経営を目指します。
農業経営管理の認証制度GAPは、農作物の生産工程における安全管理、持続可能性に向けた取り組み、作業者に対する適切な労務管理など、安心・安全の指標の一つです。膨大な書類、管理項目、現場での実施と、費用も時間もかかるため、日々の業務に追われ農業者には手を出しにくいものです。しかし、高見さんは就農後から準備をはじめ、2年越しで島根県GAP(安全で美味しい島根の県産品認証制度(愛称:美味しまね認証制度)を取得しました。「片付けが一番大変だった」と振り返る高見さん。整理整頓された現場では、作業も心地よく進みます。
いちごは日本全国、どこでもそれなりのものが手に入ります。そんな激戦の中、選ばれる高見さんのいちごは、市場、インターネット通販、ケーキ屋、スーパー、そして豪華寝台列車「瑞風」にも採用されています。「営業という営業はしたことがないんです。全て、口コミや、知り合いの紹介です。」まさにいちごが縁結びをしていました。県内企業とのコラボレーションでは「いちごミルクアイス(シマネアイス)」も開発、今後はいちごのない夏場の売り上げ増に向けた商品も検討していきます。
ノウハウがあったこと、近所の土地が借りやすいという点はメリットでした。しかし、世代交代のタイミングに重機やハウスの整備が重なり、初期投資はかかりました。縁のある方と共に喜び、共に発展・成長する農業を実現したいと思っています。また「縁結び」を謳ういちごを視覚的にも楽しむ工夫には、奥様の力が不可欠です。自社サイトやSNSを彩るかわいらしい写真の数々に、女性ならではのやさしい感性が光ります。「本当に妻には感謝です」一番身近な人に幸せでいて欲しい。相手を大切にする姿勢こそが、縁結びの秘訣のようです。「若い頃は考えていませんでしたが、代々地元で続く家でしたし、戻って来てよかったと思います」自社サイト上での近隣農家紹介も、仲間を想う気持ちの現れです。今後は、福祉施設と連携をし、地域にも貢献していきたいと考えています。
住所 | 島根県安来市下坂田町579 |
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代表者名 | 高見謙一 |
作目等 | いちご |
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URL | http://takami-net.com/ |
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