優良事例集

阿蘇の未来をつくる 土づくりから始める酪農

阿部牧場/阿部寛樹さん/次世代継承
世界最大級のカルデラを有し、観光地としても人気の熊本県阿蘇市。「牛づくりは草づくり、草づくりは土づくり」をモットーに、酪農を営む阿部牧場の阿部寛樹さん。自然災害を乗り越えながら、地元への思いを込めた「ASO MILK」ブランドを掲げ、自慢の生乳で商品を展開しています。

2代目として挑戦したい思いは?


子どものころから継ぐイメージはありましたが、高校時代は全く別の未来を描いていました。大学進学を前に、興味のあった絵やグラフィックデザインか、やはり牧場を継ぐための勉強をするかを迷いましたが、「畜産をしながらでも絵は描ける」と帯広畜産大学で経営を学ぶことにしました。卒業後は北海道で1年半ほどを過ごし、様々な仕事を経験した後、24歳でUターン。父親には、創業者としての強い思いがあり、20代~30代初めのころ、新しい牧草の栽培方法や牛の飼育方法に挑戦した際には衝突することもありました。しかし、「60歳で辞める」と父親から言われていたので、継ぐことを前提に、事業計画や収支計画づくりに携わっていました。


「ASO」の名でブランディングとは?


阿蘇地域は、湧水がきれいで、牧草が豊富な場所であるため、酪農をするには恵まれています。美味しい牧草やそのための土をつくると美味しいミルクにつながるという考えの元、牧草づくりに精を出す中で、「阿蘇」という名前を冠した自社商品をつくりたい、との思いが湧いてきました。ブランド名「ASO MILK」で挑戦をしようと27歳で決心し、2011年、33歳のときにリリースすることができました。阿部牧場の商品は、出来る限り熊本県内に届けたい。ただ、ここは観光地ですので、旅行で訪れた際に阿蘇の空気に触れながら、口にした牛乳やヨーグルトを、地元に帰ったときにもまた飲みたい、と言ってもらえるのはうれしいことです。主な販売先は地元ですが、取引先は全国にあります。


地域と未来をつくる酪農への取り組みとは?


2011年の「ASO MILK」リリース後、2012年に九州北部豪雨、そして2016年には熊本地震と立て続けに自然災害が起こる中、地域の元気がなくなっていく姿を目の当たりにしました。阿部牧場の商品が阿蘇の大地や水の恩恵を受けていることもあり、どうにか地域に貢献できる牧場になりたいという思いが年々大きくなっていきました。できることは少しずつでも取り組み、社員が働きやすい環境を整えたり、良質な生乳を様々な形で楽しんでいただけるように、商品の展開もスタッフと相談しながら広げたりしています。いずれは「大人になってもこの地に留まりたい」と思う子どもが増えるような場を会社としても、地域としても増やしたいです。


時と共に地域を支える存在に


阿部牧場は、1968年に一頭の牛から始まりました。52年目となる今は経産牛(母牛)だけで約280頭、子牛から合わせると500頭以上を飼育するまでに大きくなりました。従業員に関しても10年ほど前まではアルバイト数名のみだったのですが、今は社員が40名という雇用を生んでいます。地域全体を見れば高齢化は進んでいますが、ここは20~30代の若手農家が多い地域です。阿部牧場は、規模的に地域でも一番大きい会社なので、若手から相談を受けることもあります。元気がある農家同士が徐々に集まり、「新たなチャレンジをしよう」という話がどんどん出る、ゆるやかなコミュニティーのようなものが生まれています。


先代とは異なる強みとする面は?


先代がつくってくれた基盤は圧倒的なアドバンテージでした。特に牛の血統、機材などがあるのは牧場経営には大きいことでした。父親はTHE酪農家で本当に牛に詳しく、職人気質。そこでは勝負ができないので、経営計画をつくることや金融機関とのつきあいなど、別の所で阿部さんは得意分野を伸ばしてきました。そのようにバランスが取れたことで、親子でやる難しさをやわらげたり、事業の成長にもつなげられたりすることができたように思います。

住所熊本県阿蘇市
代表者名阿部寛樹
作目等酪農
従業員

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