若い頃は地元から離れたいと宮崎県外で働いていましたが、23歳の時、父親の逝去がきっかけで家業の農家を継ぎました。当時は米とさつまいもを栽培し、個人農家として農協に出荷を続けていましたが、だんだん衰退していく農業と過疎化の進む地元に危機感を持っていました。40歳になった頃、一念発起、米をやめ、さつまいもの栽培を拡大し、自らが販売することを決心します。3年後には更なる事業の拡大のために法人化、くしまアオイファームを設立。「目新しいことが賛同されにくい地域だからこそ、農業で法人に挑戦しよう」と農家、そして企業として成功することで、地方でも十分な事業ができることを証明し、串間の未来をつくろうと奮い立ちました。
法人設立時、理念や計画は綿密に練り上げました。掲げたビジョンは「強い農業はこえていく」。安全・安心でおいしい農産物を作り、安定的で高い収益を生む農業を目指しました。しかし、農業の知識だけでは無理だと気付いており、仲間が必要でした。早速YoutubeやFacebookなど、当時業界内では目新しかった切り口で理念を発信、共感し集まってきたのは、ITエンジニアなど農業とは疎遠な人材をはじめ、感度が高く優秀な人材でした。都市部からの移住者や自分には居場所がないとくすぶっていた人が、今は生き生きと働いています。理念に共感して入社した彼らのおかげで流通システム構築、新規販路開拓など、描いた青写真が一つずつ、現実のものとなりました。
自身の体験もあり、農家の収益が市場価格と結びつかない流通現場に課題を感じていました。そこで法人設立前から温めていた「契約栽培」「直接流通」の仕組みを構築します。自社栽培に加え、現在は300軒ほどの契約農家から買い付けをし、独自開拓した販路へ出荷しています。中間を可能な限り省いた流通システムを構築することで流通コスト削減。契約栽培による生産者の安定収入実現。そして、生産者の生産意欲向上・技術改良の結果、さらに美味しいさつまいもができ、販売できる。生産者の立場を一番に考えた、販売者、消費者、みんなが嬉しい仕組みです。
宮崎大学農学部と「さつまいも」に関連する内容をテーマに共同研究を行っています。それは、生産者の収益に結びつくことを目的とし、その研究の成果により、新たなアグリイノベーションを起こせると考えています。未来において、日本や世界の食料供給基地として、さらに、サツマイモの聖地として南九州が存在出来る為のものです。そして、種苗、生産、流通、加工、販売など、様々なサービスを生産者に提供しながら、持続可能な農業の実現を目指した取り組みです。
一次産業は現代においても、地方にとっても重要な産業です。一時的なものではなく、しっかり地に足がついた存在として「ここがあれば大丈夫」と経済的な拠り所を目指したことでこれまで続けることができました。昔ながらの本当に濃い人付き合いがある地域であっても「しがらみに囚われることなく、同じ気持ちで仕事に向かえる仲間と働ける場所が欲しい」自身が若い頃に望んだ会社を、今、仲間と共に創っているのです。家族4人で始めた事業は今や100名規模。若さと勢いで、地元串間に新風を巻き起こしています。
住所 | 宮崎県串間市奈留6564-1 |
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代表者名 | 池田 誠 |
作目等 | さつまいも |
従業員 | |
URL | https://aoifarm-gr.com/ |
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