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優良事例集

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「走る鶏の卵」から、日本一を目指す

お多福たまご/福重智寛さん/新規就農
九州山地と霧島連峰に囲まれた自然豊かな盆地、鹿児島県湧水町で養鶏を営む「お多福たまご」福重智寛さん。飼料は100%農薬・化学肥料不使用の穀物や野菜、天然魚を厳選、鶏舎内の敷材までオーガニックのもみ殻や天然の腐葉土を使うこだわりです。町名にもなるほどの地元の美しい湧き水を与え、早朝から日没まで放し飼いのストレスフリーな環境で育った鶏から産まれた卵は、安心・安全、そして美味しいと高い評価を受け全国から注文が入ります。環境と社会によい暮らしのための持続可能な取り組みとして、環境省主催グッドライフアワード2018で特別賞「エシカル賞」も受賞しています。

養鶏をはじめたきっかけは?


高校卒業後、約10年東京でイタリアンの料理人をしていた福重さんは、自分の店を持ちたいと考え、同時に地元への恩返しができればとの想いもあり、2017年6月に故郷湧水町の地域おこし協力隊制度を利用しUターン、協力隊の傍ら養鶏事業を開始しました。しかし、地元とはいえ、福重さんは非農家出身、養鶏も素人です。当初、周りからは猛反対をされました。周りに聞ける人もおらず、本屋で買ってきた本を頼りに独学で試行錯誤を続けました。卵が産まれないことや、鶏が全滅してしまったこともありました。


目指した経営スタイルは?


将来、町の人口減少は避けられない問題です。町としても、自身がお店をするにしても、わざわざ足を運んで貰える場所をつくらなければ生き残れません。「徹底的にこだわり、価格競争を避け、全国で戦えるモノをつくろう」料理にもお菓子にも使える食材の卵に目をつけました。さらに、卵は約75%が水分です。町の誇る湧水も活かせるに違いありません。東京の飲食店で厳しい価格競争の経験から、やるからには徹底的に!と「日本一」を目指します。


これまで進める中で大切にしたことは?


日中は地域おこし協力隊の業務を行う福重さんの1日は大忙しです。朝、昼(休憩時間)、夜と鶏の世話をし、週末は完全に養鶏に集中と、鶏中心の毎日です。完全無農薬の飼料を求め、車で2時間かけて出掛けます。天然の魚で自ら餌作りをします。こだわらなければ手間も時間も、半分以下で済みますが、一切の妥協をしません。その甲斐あって約2年という早さで結果に現れています。「遠回りだと思っていたけれど、近道になった」と振り返る福重さん。2020年中には念願の飲食店オープン予定です。


お多福たまごで行う地域おこしとは?


お多福たまごの卵は、町の特産品開発事業にも活用されています。他県からも客が訪れるほど人気のある地元ラーメン屋で煮玉子になっています。トッピングの中では200円と高価格にも関わらず、飛ぶように売れています。また、ふるさと納税では、注文数を限定するほど人気商品です。地域資源の湧水、地元産の餌で育てた卵は人を呼び込む材料となり、収益として町に還元される循環が生まれています。「やるからには成功させる」覚悟を決め、純粋にひたむきに、努力を積み重ねた成果です。真面目なだけではなく、ユーモアもあるのが福重さんです。SNSにそのセンスが光ります。インターネット上で一躍話題に、TVにも取り上げられ「走る鶏の卵=お多福たまご」で有名になりました。早送りと見間違えるスピードで走る鶏の姿はとても印象的です。


これまで続けてこられた要因は?


地域おこし協力隊の制度を利用できたことは幸いで、地域との繋がりも広がりました。しかし、実際にダブルワークでの養鶏は楽ではありません。周りからも反対ばかりでしたが、覚悟を決めていた福重さんは「反骨心になりました」と、ますますの原動力となったそうです。東京から移住をし、共に養鶏に取り組む奥様の存在も大きな支えでした。「早く奥様のご両親を安心させたい」と、頼もしい九州男子です。2020年3月に協力隊の任期を終え、春から本格始動します。飲食店、自然放牧で有名な「しあわせな乳牛」と「お多福たまご」のコラボ商品「幸せの放牧パン」、オーガニック小麦の手作り麺などを計画中です。どんな時も目指す規格はいつも「日本一」、揺るぎない心で進みます。

住所鹿児島県姶良郡湧水町米永字田ノ頭1961-1
代表者名福重智寛
作目等養鶏
従業員
URLhttps://munouyaku.shop/

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