世界平和や環境問題に興味を持ち、大学で農学を専攻した金江さん。初めて日本の農業の現状を知り「世界のこと以上に、日本の農業が大変」と目を向けるようになりました。志の高い学友たちに恵まれたこともあり、自然と自らが農業の現場でなんとかしたい、と思うようになりました。学生時代にした援農体験も楽しく、これならば毎日できそうと卒業後に就農をしました。岡山県の養鶏場で3年、香川県のアスパラ農園で7年勤務。その時に養鶏場の2代目であるご主人と出会い、かなえ養鶏場に嫁ぎます。すこしずつ手伝いを重ねていく中で、いつしか「おいしい味を知っているのは生産者だけ。いつか消費者に直接伝えていきたい」という思いが強くなり、ご主人と一緒に直売所を立ち上げました。
最大の目標は「続けること」です。トラックにたまごを乗せて出荷するところまでだったこれまでと異なり、お店では一人一人、直接お客様の顔を見ることができます。生のたまごが苦手な方の中にも「ここのたまごなら食べられる」と通ってくる方もいます。お客様の生の声に向き合う分、気持ちも引き締まります。次から次と変化する時代だからこそ、子どもたちが将来大人になったときに「子どものころからあるお店」「お母さんと一緒に行ったお店」と足を運んでもらえるような、地域に根ざしたお店を目指します。
今の時代、選ばなければ「たまご」は誰でも、どこでも入手できます。単に直売所だけでは意味がないと、オープン当初からたまごを使ったお惣菜やスイーツ等を用意。素材となっている「たまご」を食べてもらう機会を増やすことで、「まずうちのたまごを知ってもらいたい。」そして、たまごの味の違いに気づいたお客様には、かなえ養鶏場のファンになってもらえると考えたからです。その一方、建物自体にはお金をかけずに始めていることもポイントです。初めてのことで周りからも「本当にやっていけるのか?」と心配されましたが、他県へ出向きたまごを扱うお店を視察し、飲食店の経営者からは食材ロスを減らす工夫などを学びました。
オープン当初からパート6、7名を雇用していました。今では13名に増えています。全員が主婦のため、週に2~3日勤務、急に休まなくてはならなくなった人が出た場合にも、代わりの人に来てもらえるようにシフトを組んでいます。初年度は売上の50%以上が人件費にかかりましたが、当時があるからこそ、お店の土台ができたと考えています。「一人ではできなかった。スタッフがいてくれるからできることがたくさんある」ブームに乗るのではなく、地道にしっかり着実に。その姿勢が売上にも繋がっており、毎年少しずつお店のリフォームをして現在に至ります。
毎日必ず、朝採り卵を使っています。情報開示、嘘をつかないこと、基本的なことを徹底し、お客様との信頼を構築しています。たまごの容器に紙製を使用するのにも根拠があります。プラスチック製は湿度で細菌が繁殖しやすく、紙製は湿度調整が可能でたまごにもやさしく、品質保持に有効なのです。生産者の顔が見えていることで、お客様に無用な心配をかけずに安心して購入していただくことができます。遠くから来てくれるお客様もおり、やりがいと手応えを金江さんは感じています。
住所 | 香川県さぬき市大川町富田西2594-1 |
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代表者名 | 金江ちひろ |
作目等 | 養鶏、卵加工品など |
従業員 | |
URL | www.kanae-egg.jp |
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