優良事例集

加工品の工夫も。ファンを増やすいちごづくり

香月農園/香月涼子さん/新規就農
佐賀県神埼(かんざき)市。佐賀市のすぐ東にあるこのまちで、いちご「さがほのか」に特化して栽培をする香月農園の香月涼子さん。生のいちごはもちろんですが、とれたてのいちごを使ったドライフルーツやお菓子なども、ほぼ全量に近い量を委託することなく栽培から加工、販売までを自社で完結させています。就農から20年が経ちますが、これからもいちごをテーマにした香月さんの挑戦は続いていきます。

「当たり前」に感じられなかった「農業の当たり前」とは


嫁いだ先は農家。しかし、夫は会社勤め、基本は専業主婦として過ごし、いちごを栽培していた義父をたまに手伝う程度でした。ところが、約20年前に義父の病気を機に、夫も会社員を辞めいちご農家として就農しました。元々農業にあまり興味が無かった香月さん。農作物は捨てるものも多く、それが当たり前。出荷できないものは廃棄をするか、人にあげてしまい、周りの人ももらって当たり前だと思うような雰囲気に疑問を抱きました。


お金がまわる農業とは?


就農以来「お金がまわる農業を目指して何かしらやろう」と考え続け、約13年前に加工品づくりを始めました。ジャムは家庭でもつくることが出来る、「何か違うものはできないか?」と探していたところ、研修会の中で「パリっとお菓子のように食べられるいちごがあったら面白いよね」という話が出ました。やってみなければ分からない、と1万円程度の家庭用食品乾燥機を購入するところからスタート。その後、試行錯誤を重ねて今の形のドライいちごが完成しました。「就農当初から、今の状態を描けていたといえば、描けていたように思う」という香月さん。始めたころから栽培の規模は変わりませんが、飽きが来ない商品づくりを目指して日々変化を試みています。


「おいしい」と「好き」を形にした取り組みとは?


ドライいちごの製造は収穫期にしかできない作業です。畑での作業後に、収穫したいちごをスライスし、乾燥機にかけて就寝。朝起きるとドライいちごが完成している、という暮らしを数年続けました。大変さを感じつつも、自分の子どもの「おいしい」の声が「やはり美味しいんだ!」とモチベーションに繋がりました。周りの人たちにも食べてもらい、感想を聞くなど、無意識にマーケティングに取り組んでいました。ドライいちごは通年販売ができますが、いちご栽培のオフシーズンである夏場の収入を増やすには限界があります。そのような中、自身が好きなレーズンにインスパイアを受けて作ってみたものが「つめまる粒ジャム」。その過程で無駄は出したくないと加工中に出る煮汁をさらに煮詰めて出来上がった商品が「いちごシロップ」です。


取り組みの成果は?


「美味しいものを無駄なく届けたい」と開発を続け、現在では1年を通して10~20種類弱の加工品を出せるようになりました。家族で始めた「香月農園」も、義父の倍の面積に。今では通年で3人を雇用しています。最初の1~2年は3人ともハウス内での作業に従事をしていましたが、加工品づくりが本格的に動くに連れて忙しさも増していき、5年ほど前から2人が加工専属のスタッフとして働いています。


ファンを増やすためにしていることは?


いろいろな商品をこまめに出したり、機会があれば催事に出て「香月さんちのいちご畑」を知ってもらうように努力をしています。毎回、思い通りとは行かず、時には出店しても赤字になることも。それでも「宣伝料」と、全国各地を1年に1度でも訪れ「今年も来たね」と言ってもらえる関係づくりを目指します。「いつかは観光農園をつくりたい」という夢もあります。全国から佐賀に旅行に訪れた際には「ハウスに寄ってみようかな?」と思ってもらえるような「香月さんちのいちご」のファンづくりを続けていきます。

住所佐賀県神埼市千代田町柳島1959
代表者名香月涼子
作目等いちご栽培、いちご加工品製造・販売
従業員
URLhttps://katsuki-farm.com/

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