就農のきっかけは単純でした。国内外で様々な職業を経験し、30歳を過ぎた頃、海外で貿易関係の仕事に携わっていましたが、将来について考える面もあり帰国することになりました。転職をするにも、これといった資格があるわけでもなかったため「お金はないが、体力はある。農業だったら自分の身ひとつ、クワ1本で始められる」と、1年間の研修を経て就農しました。それまでの仕事では営業職が中心、ものづくりは初めてでしたが「やってみると全然苦にならなかった」と、予想以上に楽しみながら続けられ、現在に至ります。
現在の販路は直売所が8割、飲食店・仲介業者が2割です。8年かけて開拓した販路ですが、今後は更に安定した利益を得るために飲食店・仲介業者の比率を上げることを目標にしています。飲食店への営業では、多品目栽培が強みになります。また、情報開示を求められた際にも、すぐに渡せるよう、日頃から生産履歴のデータ管理を徹底しています。無農薬を目指し、こだわりを持って生産するため、市場価格よりは高めですが「価格だけではなく、自分を見て判断して欲しい」と信念を貫いています。
栽培から出荷までの大半を1人で行っているため、限られた時間の中で飛び込み営業をしました。直売所で野菜の買い方で飲食店の方を見分けて声をかけたり、気になるお店に食べに行ってみて「ここならば」と思ったお店に「実は農家で…」と声をかけます。高い洞察力、交渉力は営業時代の経験が生きています。納品に時間が割けないため、飲食店や仲介業者には直接畑に取りに来てもらっていますが、わざわざ出向いてでも欲しいのが、宮﨑さんの野菜です。来てもらう分は値下げをするのではなく、形がいびつなもの、小さいものなどをおまけにしています。最近は「これを作って欲しい」とリクエストも寄せられています。今後はウェブサイトやSNSも活用し、更にお客様とのコミュニケーションをとっていきたいと考えています。
新規就農は初期投資の負担がとても大きいのですが、3年目には黒字に。新しく建てたハウスが台風で壊れる災難にも見舞われながらも、右肩上がりで来れました。一人ではじめた農園は現在、父親に半日、週1~2日パートさんに手伝ってもらっています。それでも人手不足を感じることが増えてきました。ゆくゆくは法人化も視野に入れています。前職で人材育成の経験もあるため、労働環境整備も早い段階でと考えています。5年以内に自分の代わりが務まる頼もしい右腕を育てたいと、事業拡大を目指します。
畑で自分が手をかければその分、良いものができ、適正価格で無理ないかたちで販売ができている、自分がやったことが、成果としてそのまま返って来ていることが一番のやりがいです。今はまだ、立ち上げ〜成長期の頑張りどころ。「人が休んでいる時にこそ働けば何とかなる!」と昔ながらの熱血タイプ、寝る間も惜しんで働いています。本当に丈夫な身体があったことは幸いでした。一人だからこそ、自分の強いこだわりを貫けた部分はあります。基礎づくりをしっかり行い、高みを目指します。
住所 | 神⼾市⻄区押部⾕町養⽥字⼩神86 |
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代表者名 | 宮崎章央 |
作目等 | いちご、野菜多品目 |
従業員 |
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