いちじく栽培は藤井さんで3代目。大学卒業後は人事系の企業に就職し、サラリーマンとして社会人生活をスタートしました。しかし、いったん農業から離れる時間を過ごしたことで、あらためて農業の魅力に気づきはじめたといいます。しばらくの間、サラリーマンをしながら実家で栽培したいちじくやトマトの販売を手伝いながら、徐々に農業でのビジネスの可能性を感じるようになっていきました。藤井さんが就農を決めた約8年前は、道の駅のような直売所やオンラインショッピングなどが広がりをみせ、「良いもの」「手間をかけたもの」を直接お客さんに届けることが可能となっていました。そうした市場の変化が起きたことで、個人でも勝負ができるようになったことが、就農への後押しとなりました。
いちじくは、果物の中ではマイナーなイメージがあると感じていた藤井さんは、祖父の代から育ててきた「いちじく」の味に自信があり、販売方法を変えることで、より多くのお客さんに買ってもらえるのではないかと考えました。そこでまずは、道の駅やマルシェでの対面販売を重ね、お客さんの反応を確認していく内に、その思いは確かなものになっていきました。販売だけでなく、栽培方法の基本は親から教わりながら、月に2回ほど、週末に開催されていた農業の学校で約1年勉強しました。
収量を増やせばさらに売れる実感はありつつも、すぐに土地や人手を増やすことは難しいと藤井さんは悩みました。しかし、栽培を中心に行っている父親にだけ、過度の負担がかかることを恐れ、家族や従業員のためにも将来を見据えた投資が必要と拡大に向けて動きだしたことで、ここ2年ほどで、いちじくの栽培面積は約2倍に広がりました。
藤井さんがオンラインショップでのいちじくの販売を始めた当時は、オンラインショップでいちじくを販売している人は、ほぼいませんでした。藤井農園のホームページを開設して、オンラインショップでいちじくが購入できるようにしたことで、各方面から「食べたい」と問い合わせが来るようになりました。その後もあらゆるツールを積極的に活用し、FacebookやInstagramで、ほぼ毎日投稿を続けました。発信をすることがルーティーンとなってきたことに気づいた藤井さんは、おもしろさや魅力がきちんと伝わっているのか不安になってきたそうです。
あるとき、以前藤井農園で働いていた人が、過去にYouTubeにあげた動画が、図らずも1万回の再生がされているという話を耳にした藤井さんは、その場の勢いもあり「YouTubeやりましょう!」と、すぐに動画配信を開始しました。これまで続けてきた、写真と文章を組み合わせたSNSなどの投稿よりも、動画は情報量が多く、物事の過程なども伝え易いことから、日々の農作業をストーリー性がある形で伝えることが容易な点をうまく活用しています。
就農した当初、ジャガイモ掘りを1人で行っていた藤井さん。最初は宝探しのような感覚で楽しく、この「楽しい!」という感覚は、誰でも持つのではないかと気づいたことがきっかけとなり、農業体験イベント始めました。実際に農業体験イベントをやってみると予想通り大好評。収穫イベントをはじめ、トマトの植え付けや、収穫後の木の処理なども含め年間10回前後開催し、7年続いています。毎回10~15人が参加し、その多くはリピーターです。参加者が楽しんでくれることはもちろん、自身も農業の魅力を再発見する時間になっています。
周りに増えてきた新規就農者の様子を知るにつれて、就農へのハードルが高いことを実感。これから新規就農を目指す人を支えたいと藤井さんは考えています。近くで就農した3軒の新規就農者と定期的にミーティングを行い、人手が欲しい時には労働力をシェアしたり、高い農機具を共同利用したり、時には栽培ノウハウを共有することも。「新規就農者が増えてきたからこそ、地域の未来をつくることができると考えています」と藤井さん。今後も農家同士、そして農家と消費者をつないでいきます。
住所 | 大阪府羽曳野市誉田6-1-3 |
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代表者名 | 藤井貫司 |
作目等 | いちじく、トマト、ジャガイモなどの栽培 |
従業員 | |
URL | https://www.fujii-nouen.com/ |
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