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優良事例集

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教員から農家へ。農福連携で共に成長する農業へ

幸村農園/幸村 暁さん/新規就農
島根県中部、石見銀山のある大田市で、アスパラガス、トマト、キュウリを中心に野菜を育てる幸村農園の幸村暁さん。東京での教員生活からUターン、地元での農家へとキャリアチェンジしました。出荷工程を農福連携することで地域とつながり、上手く頼ることで、安定した成長を遂げています。新規就農のノウハウを就農希望者に伝えるなど、地域の未来の食を支える地域農業の基盤づくりを進めています。

新規就農へつながったきっかけは?


大学進学と共に東京へ。卒業後はそのまま東京で就職し、歴史の高校教諭をしていました。2011年、父親が病気になったとの知らせを受け、島根へのUターンを決意しました。親の近くで融通の利く仕事をしたいと考えていた幸村さんは、父親が定年退職後に農協からビニールハウスを借りて趣味で栽培していたトマトやキュウリを、一緒に育てることにします。農業大学校で1年間研修を受け、父親と一緒にハウス栽培をはじめました。


規模拡大に向けた経営スタイルは?


自分の農地を広げようと補助金の申請を検討しましたが、給付対象外だったことで、かえって「きちんと利益を出さなくては!」とモチベーションにつながりました。教員時代から、漠然と事業主への憧れがあった幸村さんは、農業で暮らしを建てるために5年目で売上1000万円を稼ぐという目標を立て、そのために何をつくるかを決めていきました。まずは、栽培していたキュウリとトマトを中心に、その間に葉物野菜を栽培することで安定した出荷、収入につなげていきました。その成果もあり、就農4年目の2016年には売上1000万円を突破。「亡くなるひと月前まで父親も一緒に畑に出てくれていました」と幸村さん。父親が亡くなった後、人手をかけずに出来るものをと探す中で、新たに栽培を始めたのがアスパラガスでした。近くに農協の部会があり、収穫と選別をして持っていけば、袋詰めから販売までを農協にお任せできる環境があったことも、継続の決め手になりました。


ひとりで抱え込まない農業スタイルとは?


当初は、栽培、収穫、袋詰めまで1人で行っていた幸村さんでしたが、キュウリの最盛期となる7~8月には、睡眠時間が1時間程度という暮らしがひと月ほど続き、体力、持続性の限界を感じました。いろいろと調べる中で「農福連携」に興味を持ち、県の農業普及センターの担当者に相談したところ、島根県の農福連携コーディネーターを紹介してもらいました。そこから、地元の障がい者施設とのご縁が生まれ、それ以来、袋詰めは施設の利用者さんにお任せをしています。キュウリの袋詰めから始め、段階的に葉物、トマトとお願いする作物を増やしていきました。


地域連携することで得られた成果


就農後半年で土地を見つけ、耕作放棄地を購入し、2年目には2つ、3年目には3つと増やしました。現在は、約50mのビニールハウスを5棟と、農協が1年単位で貸出をしているビニールハウス8棟で栽培をしています。品種も主にアスパラガス、トマト、キュウリを栽培し、その合間に葉物野菜を栽培しています。出荷に伴う作業は農協や障がい者施設に委託することで、大量に生産・出荷が可能となり、3年目の売上400万円から4年目には1000万円と大きく伸ばすことに成功しました。


直売所に支えられ、支えていくとは?


これまで借入をせずにやってこられた理由は、短期間で出荷可能な野菜を選定し栽培してきた点にあります。お米は秋まで待たなければいけないし、果樹も季節性があります。また、主に直売所出荷をすることで、半月~1月ごとに現金収入があることも安定につながりました。直売所の存在は収益確保の面からも大切ですが、地元の人にとっても地場の産物が気軽に手に取れる大事な存在です。しかし島根県の高齢化率は全国的にも高く、幸村さんが所属する直売所会員の平均年齢も70代。この先の直売所存続へ向け、自身の新規就農体験を、就農希望者にセミナーなどで話すなど将来の担い手育成にも携わり、栽培以外にも農業に関わる仕事をしていくことで、「消費者のことも考えて、今まであたりまえにこの地域で食べられているものを持続的に提供していきたい」と幸村さんは活動しています。

住所島根県大田市鳥井鳥井町755-1
代表者名幸村 暁
作目等アスパラガス、トマト、キュウリを中心とした野菜栽培
従業員

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