小竹さんが農業に興味を持ったきっかけは、客室乗務員を目指して進学した大学で必修となっていた農業実習でした。それまで無縁だった野菜作りを初めて体験した小竹さんは、自分たちの手で育てた野菜のおいしさに衝撃を受けました。共に体験した学生みんなを笑顔にする野菜の力に感動し、その日のうちに「農業をやろう」と決意。大学卒業後、園芸の専門学校に入り、農業の道へと進みました。初めての就農として植木を扱う農業法人へ就職し、経験を積む中、ある時知人から農園を借りないかと打診されます。そこはビニールハウスなどの施設がそのまま残された土地、いわゆる居抜き物件でした。敷地面積3000坪という大きな規模に戸惑いを感じながらも、インフラの整ったその施設を活用しない手はないと、2010年、夫婦で創業に踏み切りました。その後、2013年に法人化し、今に至ります。
パナプラスでは、就業前に経営理念「農業を通して、笑顔集まる、幸せ拡がる、喜びあふれる商品とサービスを創造します」を全員で唱和しています。これは、会社が目指す方向性を共有しながら、従業員一人ひとりが自身の仕事の意義を日々考えられるようにと実践していることです。「大変なことがあっても、何のためにこの仕事をしているのかと理念に立ち返ることで、軸はぶれない」と小竹さんは言います。やりがいを感じて働くことで、人生の3分の1を占める「働く時間」を楽しみ、全員が輝けるような職場づくりを心掛けています。
創業当時、野菜苗の市場はすでに確立されており、園芸売り場にはたくさんの苗が並んでいました。新規参入するには、他との差別化を図る必要があったことから、個性的な苗を作ることに着目。まずは、アピオス、赤と青のオクラのセット(通常の約2.5倍サイズのもの)、ジャンボ落花生と黒落花生のセット、キワーノの4種の苗の生産・販売からスタートさせました。なじみのない野菜を認知してもらえるよう、バイヤーには試食を促し、その目新しさを売りにシェアを広げていきました。今では「パナプラス=珍しい品種の苗を扱う会社」として、業界内では認知されています。
4種の苗の販売からスタートした事業も、現在は150種類を取り扱うまでに拡大しています。関東近郊への出荷を皮切りに取り扱い店舗を広げていき、今では北海道から沖縄まで、全国各地のホームセンターや園芸専門店での販売を実現しています。規模の拡大に合わせて従業員も増え、現在は正社員3人のほか、パート20人が働いています。そのほとんどが女性で、週2~3日や午前のみの勤務、ダブルワークなど、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方を実践しています。
小竹さんは「事業拡大をしてこられたのは、運や人に恵まれていたことが大きい」と振り返ります。独立開業したその時から、施設を紹介してくれた人や買い支えてくれた方々、従業員一人ひとりまで、いつも応援してくれる誰かがいました。「支えてくれる人たちのおかげで今の自分がある」と小竹さんは言います。事業で少しうまくいった時なども初心にかえり、いつも周りの人への感謝を忘れないでいたい。園芸の喜びを届ける取り組みは、こうした日々の積み重ねによって結実しているパナプラスです。
住所 | 栃木県栃木市大久保町230 |
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代表者名 | 小竹花絵 |
作目等 | 施設園芸(野菜苗) |
従業員 | 役員等2名、常時雇用社員3名、パート・アルバイト20名 |
URL | http://www.panaplus.jp/ |
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