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優良事例集

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「農業をもっとおしゃれに」黒部川の天然水でコメ作り

株式会社アグリたきもと/海道瑞穂さん/次世代継承
「農業をもっとおしゃれに」という経営理念のもと、2010年に富山県下新川郡入善町で設立された株式会社アグリたきもと(以下、アグリたきもと)。黒部川の豊富な天然水を使用し、主要生産物である水稲(コシヒカリ・ミルキークイーン)のほかに、大豆、入善ジャンボ西瓜など数多くの品目を生産しています。もともとは兼業農家でしたが、2003年に代表取締役である海道瑞穂さんの父親が脱サラして就農し、人手不足を解消するため2006年に海道さんと母親が就農しました。2010年の会社設立と同時に、24歳で社長に就任した海道さん。富山県にある土地利用型の大規模農家では初めての女性社長でした。アグリたきもとは持ち前の農地と地域の人から託された農地を使って作付けを行なっており、特にコメ作りでは、土作りや選別方法、水管理など細部にわたってこだわりを持って取り組んでいます。その結果、2017年の全国優良経営体表彰において農林水産大臣賞を経営改善部門で受賞。「女性経営者」というカテゴリーを抜けだし、今や実績で評価されています。

ゼロからはじめた農業経営の課題とは


当時は経営面の継承が一番の課題でした。海道さんは、もともと農業をやるつもりがなかったため、農業のことも経営のことも経理のことも、分からないことだらけでした。それでも就農から社長就任までの4年間で農作業のことはだいたい把握していましたが、経営・経理の面では完全に知識経験が不足していました。


事業を継承して最初に目指したものは?


創業者である父親のビジョン「現状維持」をそのまま継承しました。同時に「これからは若い人達の時代、男性には分からない女性目線を農業に生かしたい」という思いも継ぎ、若い人達や女性に農業に興味をもってもらうことを目指して、今に至ります。


経営者として事業経営に、取り組んできたこと


経営面の知識不足を解消するために、毎月、税理士から経営や経理について学んでいます。経営について理解が深まるにつれ、経営に女性の感覚を生かし始めました。介護休暇制度の導入など制度面の改善のほか、贈答用の米をインターネット販売し始めたのもその一環。「女性は贈り物にお金をかける傾向にある」とにらみ、購買のターゲット層を自身と同じ世代の女性に定めたのです。デザインを勉強していたセンスを生かして、2合という使い切りやすい量の米を詰めたボトルに自らがデザインしたシールを貼り、高級感と洗練された美しさが漂う商品に仕立てました。また、農業のイメージアップを図るため、自社ホームページでは一般的にイメージされる農業らしさを一切出さずに、おしゃれさを前面に押し出しました。「お米を売るためではなく、農業のイメージを良くして、若い人達に農業に興味を持ってもらえるようにホームページを作ったんです」と海道さん。自らトラクターを乗りこなし、女性でも活躍できる姿を見せています。品質管理面では、従業員一人一人がコメ作りの基礎を徹底して行なっています。アグリたきもとに農地を託した地域の人の思いに応えるため、土作りを追求したり、除草を徹底させたりと高い品質を目指しています。「当たり前のことを真面目に行うだけ」と考えています。


事業継承後に、取り組んできた経営の成果は


地域の人からの信頼が増し、アグリたきもとに田んぼを預ける人が増えた結果、創業時は1.5haだった作付面積が110haまで増加しました。扱う面積が広くなっても品質管理をおろそかにせず、最高の品質等級である一等米の比率は毎年100%を誇ります。また、女性が活躍しているということで、2015年に農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)に選定されたほか、2016年には北陸農政局男女共同参画優良事例として表彰されました。おしゃれさとおいしさが評判になり、インターネットで販売している贈答用の米も大人気で、生産が追いつかない状況です。


両親から受け継いでいきたいと感じていることは?


父がもともとうまく経営を回してくれていたから、事業規模が大きくなっていっていると海道さんは受け止めています。いつか海道さんが継いだときに困らないように、と事前に設備や資金を整えてくれていたことが、今のいい状況を生んでいます。「父は裏のボスです」と海道さんは笑います。また農業をしつつ生け花を教えている母親が、いつも身ぎれいさを保つよう努力している姿を見てきたことが、アグリたきもとの目指すおしゃれなイメージに通じています。

住所富山県下新川郡入善町蛇沢29-4
代表者名海道瑞穂
作目等お米や大豆、特産の入善ジャンボ西瓜や野菜
従業員役員等3名、常時雇用社員等4名
URLhttp://agritakimoto.com/

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