優良事例集

昔ながらの「干す」知恵で、乾燥野菜を鹿児島から全国へ

株式会社オキス/岡本孝志(写真中央)さん/新規就農
「大地のものはすべて真に活かし、すべて人を誠に活かしつつ、そのすべてをエネルギーに変えて、企業を育み、郷土を元気にする」。これは株式会社オキス(以下、オキス)の掲げる企業理念です。オキスは鹿児島県大隅半島の鹿屋市にあります。「現在は、直営農場と契約農家を合わせて220ヘクタール分の農産物を扱っている」と代表の岡本さんは話します。岡本さんは九州地域に昔からある「干す」知恵を活用しながら乾燥野菜や野菜パウダーなどの主力商品を生み出してきました。農産物の生産から物流までを一貫して担う6次化産業化の技術はこれまで会社の成長を大きく支えてきました。

生産から物流までを行う企業となったきっかけは?


会社設立には株式会社岡本産業という物流会社が関係しています。オキス設立以前、岡本産業は大隅半島に荷物を届ける物流の仕事を担っていました。事業収益を考えたとき、配達が終わったトラックの帰りの荷台を空にして戻るのはもったいない、何か積んで帰ってこられないかと考えるようになります。そして岡本さんは、大隅半島の豊かな野菜や果物に目を向けます。温暖な気候で、四季を通じてたくさん生産されている農産物を、トラックの帰りの荷台に乗せて市場に持って行くことで、農産物を必要としているところに届けることが出来ると気づき、運びはじめたことがオキスのスタートです。


これからの先を考え、人材育成に取り組んでいること


自社の強みは、6次化による一貫した工程を自社で完成できるからこそ、消費者に安心を届けられることなのだと岡本さんはいいます。オキスでは商品が鹿児島産であることが分かるようにロゴを付けることで、鹿児島の魅力を前面に出す工夫をしています。そして、商品づくり同様に大切にしているのは人材育成。なかでも、アウトプットとインプットを意識しています。自分の欲を捨て、知識を惜しみなく社員に伝える(=アウトプット)ことで、自分の中のキャパに空きができる。そこに知識を与えた社員の側からも新しい知識が入ってくる(=インプット)。そのことに気がついた岡本さんは、積極的に社員にアウトプットするようになりました。自分の定年を見据えながら社員の育成に取り組んでいるのです。もうひとつオキスが目指しているのは地域活性化です。企業理念の一つに「郷土を元気にする」があります。全国の大学生を受け入れ、ごぼう引き体験や芋掘り体験を実施。20、30年以上前からずっと留学生と一緒に「汗・土・潮」をスローガンに交流も進め、一緒になり汗を流して地域と外を繋ぐ地域活性化に努めています。


発想の転換により生まれたビジネスチャンスとは?


豊かな大隅半島の農産物を九州だけでなく関東地方へ流通させるために事業に乗り出しましたが、ここで問題に直面しました。関東近隣から運ばれてくる同じ種類の野菜の値段と比べると物流費が高くなり、商品として店頭に並べたときに単価で競争できなくなるということでした。いろいろな試行錯誤の末、ヒントを得たのが昔から九州に伝わる大根の櫓干しの光景でした。野菜を干せば、大根であれば95%は水でできているので水分が抜け、今までトラック20台で運んでいたのを、トラック1台で運ぶことができるというアイディアが浮かびました。物流の問題から生まれた解決策は、オキスのビジネスを大きく進展させることになり、2006年に株式会社オキスは設立され、努力の末に事業をこれまで軌道にのせてきました。


経営規模拡大につながった取り組みとは


野菜を乾燥させて加工する方法は、昨今の健康志向ブームや手軽さを求める消費者のニーズなどにも合致し、さまざまな野菜を加工して商品化するにいたりました。乾燥野菜は輸送距離にも強く、海外での日本食への関心の高まりもあり、岡本さんはこれから海外輸出に意欲的に関わりたいと考えています。そして国内のみならず、海外にも自社で培った野菜の加工技術を活かして、離乳食や介護食などにも自社の商品を役立てたいと期待を膨らませています。会社設立当初は従業員1名でしたが、いまでは正社員22名となり成長を続けています。


これまでの事業の中で大切にしてきたこと


乾燥野菜事業が順調に動き始めるまで、試行錯誤を繰り返し続けてきた岡本さん。事業をここまでけん引してくるまで、がむしゃらに働いてきたと振り返ります。また、事業を始めたタイミングが国の政策の潮流と合い、補助金などの支援をうまく活用できて、農地、工場づくりだけでなく、人材づくりの面でも会社を成長させることができたからではないかと岡本さんは話します。大隅半島の農産物、従業員の可能性、地域の魅力を最大限に引き出しながら、これからも鹿児島から国内・そして世界へ市場を発展させるためオキスは走り続けます。

住所鹿児島県鹿屋市上高隈町1910-3
代表者名岡本孝志(写真中央)
作目等乾燥野菜・生鮮野菜
従業員役員等2名、常時雇用社員22名、パート・アルバイト17名
URLhttps://okisu.co.jp/

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