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優良事例集

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徳島県で水耕栽培、新しい農業・農家のあり方

株式会社カネイファーム/矢野正英(写真左)さん/ホワイト企業
徳島県の南東部にて、年間を通して供給することができる「水耕栽培」をメインに、農業生産販売を手掛ける株式会社カネイファーム(以下、カネイファーム)。親の代までは梨農家でしたが、矢野正英さんの代になって出荷量・収入の見込みが立ちやすい「水耕栽培」に舵を切り、法人化に踏み切りました。主力はレタスで、量販店への直接販売でシーズンごとに値段を決めるため、人材雇用を含めて計画的な経営へつながっています。カネイファームでは、生産部門の他に飲食部門もあり、フレンチレストランの経営も手掛けています。

農業での法人経営を成立させるために、取り組んだこと


家族経営の農家は、業務の長時間化と体調不良など不測の事態が、事業に与えるインパクトの大きさが問題。親世代から農家を受け継いだ矢野さんが考えたのは、「経営を安定させるためにはどうするべきか」ということでした。そこで、家族による無料の人件費をなくし、自分以外のスタッフを全員雇用して生産コストを厳密に算出、会社として農家を成り立たせ、自身が万が一入院などして長期間休暇を取っても運営に支障が出ない仕組み作りをしたと言います。「ただ作業ができるかどうかではなく、“人を管理できる”という点を第一に社員を育てています」と矢野さん。そのために、社員には役職をつけて責任を持たせ、日々の業務を自律的に進めることと、後輩を育てる人材育成の意識をつけるようにしているそうです。マネージャーレベルになると現場の管理を全て背負うようになるため、経営者は一切現場にはタッチしない状態で業務を進められるようになっています。


異業種を参考に行った会社のしくみづくりとは


看護師をしていた妻・望美さんが就農してからは、医療現場での体制作りを参考に、スタッフたちの働きやすさ・将来への見通しを意識した会社の仕組みづくりに尽力。一人ひとりのスタッフが自らの業務に責任をもって参加し、成長できる環境を整えたそうです。日々の業務はiPadを使用して管理。管理項目を明確に設定しているので、従業員のタスクは明確で、作業のフォローもしやすいように配慮されています。日々の作業については、収穫量から作業時間を見積もり、その日の稼働人数を計算するシステムを作って運用しているため、無駄な残業なく働ける体制が整っています。「それぞれの生き方・働き方の希望はあるが、一人ひとりをずっと長く雇っていきたい」というビジョンの下、各自の希望や家庭環境に合わせて制度を活用して働きやすい環境を作っています。その結果、適正な農業が実践されているかの国際基準であるGLOBALG.A.P.の認証を取得したり、農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)に選出されたりなどといった結果につながっています。


責任ある組織の構築と助け合える職場環境とは


「自分自身、看護師をやめて就農しましたが、自分で考えて、農業でそれなりの成果を挙げられていることによる達成感が大きかったんです。それを社員にも味わせてあげたいので、『自分で考えて行動する』ことが一番のモチベーションになってほしいですね」と望美さん。部署を「生産部」「袋詰め部」「発送部」に分け、それぞれの部署で責任を持たせ、スタッフの休みや作業の遅れなどはチーム内で助け合ってフォローする体制を作っています。さらに、ローテーションを組んで部署を移動するようになっているので、全ての部署の仕事を経験できます。カネイファームでは、会社を「野菜を育てる会社ではなく、人を育てる会社」と定義し、今後は野菜とつながるさまざまな事業への展開を検討しています。「農業に限らず、社員が興味のある分野が出てきたらそれをやってもいい」と、他業種への展開も社員の意見を尊重し、自主性に任せたいと言います。


経営していく中で大切にしていること


「若い人の提案・チャレンジは受け入れ、それを動かすための宿題を与えて、みんなの意見を聞きながら実現に向けて動いていく」と話す矢野さん。スタッフ一人ひとりの発言に対しても耳を傾け、真摯に向き合い風通しの良い風土を作ることで、農業の将来を拓いて行くことを目指しています。また、矢野さんはカネイファームの運営とは別に、徳島県内の野菜を一つの窓口を介して全国に発信するため、株式会社菜々屋という会社も立ち上げました。現在、カネイファームを含む4社の農業法人が集まり、共同で徳島野菜の販売をしています。通常の野菜と違い、まだ栽培方法が確立されていない「水耕栽培」。それだけに、作り手のあくなき挑戦精神さえあれば、無限の可能性が開けているとも言えます。水耕栽培のみならず、新しい農業・農家のあり方の模索を続ける矢野さん夫妻。マニュアルのない道をどう切り開いていくのか、その未来から目が離せません。

住所徳島県板野郡藍住町矢上字江ノ口41番地
代表者名矢野正英(写真左)
作目等農業(水耕栽培)・飲食業
従業員役員等2名、常時雇用社員12名、パート・アルバイト24名
URLhttp://kaneifarm.com/

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