農業に注目したきっかけは、兄の経営する日本料理店が、他店との差別化のために親戚から小さな空き地を借りて野菜を作ってみたことでした。会社員として中小企業診断士の勉強していた亀田さんは、農業の面白さに気付き、将来性を感じたと言います。「農業を始めようかと10人に相談したら8人が『儲からないから止めろ』と言うんです。農業を新しく始めようとする人が少ないなら、誰も実現していないことができるかもしれないと考えた」と言います。耕作放棄地の深刻化で、農業未経験者でも農地が借りやすくなったことが後押しとなり、就農するに至りました。
亀田さんは「自分の人生を楽しむために働いている。子どもが小さいうちはたくさん家族旅行をしたい」と笑います。コメは農繁期と農閑期がはっきりと分かれている作物です。田植えや稲刈りの時期といった農繁期には必死で働き、農閑期には加工品の生産以外、自分のやりたいことができます。英語もたしなみ海外好きなため、年に1度家族の海外旅行を計画します。休業日をあらかじめお客様に告知しておくと、休みに入る前に前倒しで加工品の注文が集中し、会社の売上を減らすこともありません。「時間が空いたら遊ぶ」のではなく、「先にやりたいことを決定し、逆算して時間とお金を生み出す方法を考える」というスタイルを採り入れているのです。
経営の基本は「家業ではなく企業」。無理なく経営を続けていくため、売上以上の借り入れをしません。金融機関から借り入れる場合は、「借入額は、売上規模に合わせて年間売上額の10パーセント以内の返済額にすること」とし、忠実に守ってきました。設備投資が高額になる機械に関しては、地元のつながりを活かして共有したり、丁寧にメンテナンスをしたりするなど工夫して乗り切りました。忙しい時期には農業に関心のある外国人を受け入れ、近隣の若手農家と協力しあって無駄のない経営体制を心掛けています。
わくわくお米本舗はナス150本を育てることから始めて、今年で12年目を迎えました。その間、農業を続けられなくなった兼業農家から「自分の田んぼも借りて欲しい」と声をかけられるようになっています。2年前からは畑をやめ、機械化の進むコメの生産と加工品の開発・販売に集中することで作業効率を上げました。現在では、玄米スナックや玄米珈琲など添加物を一切使わない加工品の開発にも力を入れることで利益を出しています。
「秘訣は家族円満です。目指すものをどう実現させるかをしっかりと考え、諦めなければ事業は絶対うまくいく」と亀田さんは言います。わくわくお米本舗において、家族の存在は労働力の面で重要です。そのため、一人だけが考えて動くのではなく、「家族という企業」で困っていることがあればしっかり共有します。亀田さんは「生産」、奥さんは「加工」、子どもたちは「勉強」というそれぞれの役目を担いつつ、炊事・洗濯・掃除などの家事も仕事の一つとして「やれることをやれる人がやって固定化しない」ことを大切にしています。わくわくお米本舗は今、加工品の海外展開を目指し、ジェトロ(日本貿易振興機構)が主催する展示会に出品しています。「仕事でも海外に行けたら最高じゃないですか」という亀田さん。わくわくお米本舗は、ワクワクできる商品を継続して提供していくために、毎日作物と向き合い続けています。
住所 | 栃木県佐野市犬伏上町2246-1 |
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代表者名 | 亀田操(取材:取締役亀田泰志) |
作目等 | 水稲、米の加工品 |
従業員 | 役員等2名 |
URL | https://waku2okome.com/ |
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