「養鶏場を拡大して美郷町に雇用を生み出すことを目標にしている」と、黒木さんは地域復興への思いを熱く語ります。過疎化や高齢化が進み、徐々に活気を失いつつあった故郷の美郷町。10年ほど前、自身が卒業した渡川(どがわ)地区にある小学校が廃校になったのをきっかけに、同級生たちと「渡川ONE(どがわん)」という団体を立ち上げて町おこしを始めました。メンバーそれぞれが自身の事業を継承するタイミングにあったことから、各々の事業で雇用を生み出し町の活性化につなげることを目指しています。黒木さんも美郷町への移住を前提とした人材募集に注力。2018年5月に鶏舎を新設したのを皮切りに、今後も美郷町内に鶏舎を増設し、2~3名の雇用を予定しています。さらに新しい土地の交渉をすすめ、徐々に経営規模を拡大しています。
先代から事業を引き継いだ黒木さんが代表を務め、役員2人、正社員1人で運営しています。基本的な労働時間は8~17時、休憩時間が2時間。鶏を無事に出荷できるように、鶏舎を注意深く見回り異常があった部分を修理すること、清潔に保つことが主な仕事です。見回りで何事もなければ午前中で仕事が終わる日もあります。また、鶏の飼育期間中は週休1日ですが、出荷後の鶏舎の清掃を業者に委託しているので、新しい鶏の入荷までには、7~10日間の長期休暇も取得可能です。出荷が年に5回あるため、その度に連休をとることができます。給与は月給20万円からスタート。家族がいる社員には配偶者手当と家族手当を支給するほか、子どもの学校行事に参加するなど、家族の行事ごとを優先した柔軟な働き方ができます。美郷町へ移住し安定して暮らせるように、待遇を考慮しています。
従業員には、宮崎、熊本、鹿児島にある養鶏農家で作る情報交換の場への参加を推奨。他社の鶏舎の見学や、同業者の話を聴いて養鶏を学びます。また今までは、鶏の出荷後に定額のボーナスを支給していましたが、今後は、鶏の品質評価検査の結果に応じた金額にしていきます。また、ゆくゆくは従業員も夜勤を経験して鶏の管理方法を覚え、「独立してさらに雇用を生み出して欲しい」と願う黒木さん。会社から社員に融資し、養鶏場を経営しながら返済する独立支援の制度を整えています。
渡川ONEの活動により、小学校廃校当時は8人だった美郷町上渡川地区の子どもたちの数は、30人にまで増えました。この流れに乗って「自分たちの子どもの代までがんばって繋いでいきたい」と話す黒木さん。鶏王には、自然豊かな環境と良好な管理状態、そして添加物やワクチンの投与量を抑えた飼育を確立したノウハウがあります。その伝承に励みながら、事業拡大を図っていきます。
住所 | 宮崎県東臼杵郡美郷町南郷上渡川3265 |
---|---|
代表者名 | 黒木豪志 |
作目等 | 養鶏 |
従業員 | 役員等3名、常時雇用社員1名、パート・アルバイト1名 |
新農業人スタートのメールマガジン!イベント情報などさまざまな情報をお届けします。