1995年の阪神・淡路大震災で大打撃を受けた淡路島フルーツ農園。当時栽培していたフルーツは2種類のみで、そのダメージを他種でカバーすることができませんでした。この経験から、自然災害におけるリスクヘッジとして、通年で複数のフルーツを栽培する経営に転換。2010年には農園で実ったフルーツを活かした和洋菓子の加工業もスタートさせています。さらに、お菓子の材料として使用頻度の高いリンゴやサクランボの産地である、山梨県八ヶ岳にも農園を拡充し、経営の安定化を図っています。
現在は12人の正社員と、6人のパート社員が従事しています。平日は農作業や製造、土日祝日は販売業務を中心に行い、年中無休で営業しています。従業員は月に8日の休日をフレキシブルに取り、別途有給休暇も取得しやすいよう配慮されています。
10年間続く社内イベントとして、調理製菓専門学校の校長を招いてのお菓子の勉強会と創作コンテストを年3回開催しています。従業員からも好評で、シーズンごとのテーマを学び、新作のアイディアを出し合うというもの。普段菓子製造に関わらない従業員も参加し、採点や表彰を行うことで、従業員が一体となって商品への関心を深める絶好の機会となっています。「こうした活動は従業員のモチベーション向上にもつながる」と話す中谷さん。成果を上げている社員には株式の譲渡も提案し、積極的に農園の経営に参画できる人材を育成しています。全従業員のうち約7割を女性が占める淡路島フルーツ農園。出産や子育てといったライフイベントへの配慮や、柔軟性のある働き方が可能となるよう資格を取ることも勧めており、現在は3人の女性が調理師免許を取得しています。
人間の営みにおいて普遍的な「食」を支える農業を、時代の潮流に乗ってどのように継続していくのかを常に考えているという中谷さん。「だから農業は古くて新しい産業。どんな場面でも柔軟に対応できるよう自然体でありながら、これからの農業を若い人たちと一緒に追求したい」と力を込めます。気候の異なる2つの農園で育てるフルーツそれぞれの持つ可能性を引き出し、農業の新たな展開に意欲的に取り組む淡路島フルーツ農園です。
住所 | 兵庫県淡路市上河合173 |
---|---|
代表者名 | 中谷学 |
作目等 | 観光農園(イチゴをメインに、ブドウ、ブルーベリー、ハウスミカンなど、20種類を超えるフルーツ) |
従業員 | 役員等3名、常時雇用社員10名、パート・アルバイト6名 |
URL | https://awajishima-fruits.jp/ |
新農業人スタートのメールマガジン!イベント情報などさまざまな情報をお届けします。