グリーンハウスは、経営理念のひとつに、「農業で豊かな暮らし」を掲げています。これには、「農業という仕事によって、従業員の生活も、経済面も、心も豊かになるように」という想いが込められているのだそうです。松村さんは、「安心して働くことができて、従業員が笑顔になれる農家じゃなければ、お客様にもおいしい商品を提供することはできません」と話します。
グリーンハウスが、労働条件の向上に関して、特に力を注いでいることのひとつが、「男女の両方が輝ける職場づくり」です。その証として女性の活躍を推進する農業経営体、「WAP100」の認定を受けており、週休2日制、産休・育休制度といった福利厚生の充実も欠かしません。さらには、女性役員の登用によって、女性の経営参画も目指しています。全ての従業員は、生産業務を経験した後、特性や能力に応じて配属決定となります。そんな中、女性従業員が、特に得意とするのは、衛生面や生産工程の管理、そして製品の袋詰めといった細やかな業務です。松村さんは、「女性の活躍を推進したことで、視点が変わって、たくさんのメリットが生まれました」といいます。栽培から営業まで、業務の幅が広い農業においては、従業員が活躍するために適材適所を見抜くことがポイントのようです。さらに、ITツールやシステムを活用した、『スマート農業』でも、労働条件の向上を狙っています。スマート農業とは、生育・収穫状況、肥料、生産利益などのデータをITツールによって分析・共有し、生産効率の改善や高品質野菜の栽培を目指す農業です。松村さんは、「見えてきたデータを利用して、そのノウハウをマニュアル化していくと、農業経験の浅い人でも、比較的スピーディーに成長します。そして、指導者も、経験値や感情に偏らない、適格なアドバイスが可能になります」と話します。若い世代が多いという特徴が追い風となって、次世代の新しい農業に挑戦しています。
松村さんはボトムアップ型の組織でありたいと考えています。若い世代に責任ある業務を任せ、何かにチャレンジしたい従業員がいれば後押しをします。その一環として、資格手当を豊富に設定しており、取得資格のレベルや担当業務が、賃金に直接反映されます。最近では、育休中に衛生管理者免許を取得した女性もおり、若手・女性従業員のモチベーションが高まっていると教えてくれました。さらに、「若手が若手を教育する」という指導方針を取っており、後輩を指導することで、指導する側も成長することを期待しています。年長者が指導する場合には、新人の苦悩に共感しづらく、すれ違いが起きやすいが、苦悩と成長の実感を共有できる仲間がいることで、人材の定着に良い影響をもたらしていると松村さんはいいます。また、グリーンハウスでは、毎年1回、全体・各担当チームで目標を立てていますが、この時に役に立つのは、スマート農業で得たデータです。その理由は、数字によって原因と結果を把握しやすく、反省点を的確にとらえることが可能となるからです。スマート農業の恩恵は、こんな場面でも垣間見えます。
「ITツールを使いこなすデジタルネイティブと言われる世代の従業員達は、考え方も新しく、非常にエネルギッシュです」と話す松村さん。その言葉どおり、最近では、スマート農業の実現だけにとどまらず、山口大学や鹿児島大学が行う、ネギの成分研究にも参加しています。スマート農業やITといった言葉だけを聞くと、農業を簡素化しているように聞こえるかもしれませんが、これはむしろ、おいしい野菜への探求心と情熱があるからこその挑戦です。「農業×テクノロジー」によって技術を極めたグリーンハウスは、私達に、一体にどんな野菜を届けてくれるのでしょうか。
住所 | 山口県山陽小野田市 大字西高泊3608 |
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代表者名 | 松村 正勝 |
作目等 | ネギ |
従業員 | 役員等3名、常時雇用社員15名、パート27名、外国人6名 |
URL | https://zan-mai.jp/ |
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