優良事例集

バナナに特化した体験型農園で学びのプログラムを提供

一般社団法人稲沢バナナ園/石田守さん/新規就農
愛知県稲沢市祖父江町にある一般社団法人稲沢バナナ園(以下、稲沢バナナ園)は、来園者にバナナの収穫を楽しんでもらう「体験型農園」。200坪の温室には150本以上のバナナの木が植えられ、ジャングルのような空間を演出しています。バナナは熟す前の緑の状態で収穫するため、一般的なフルーツ狩りのような食べ放題サービスではなく、自然に触れながら生きた学びができるプログラムを提供し、バナナ特有の楽しみ方を発信しており、家族連れや団体客など、多くの来場者が訪れています。

食育活動からバナナでの就農にいたった経緯は?


遺伝子組み換えの研究に従事し、食育活動にも取り組んできた石田守さん。自身の子どもが生まれた時に「無農薬のバナナを作って食べさせてあげたい」と思い立ったことが、就農のきっかけです。子どもに食べさせたい一心で、園芸農家だった実家の温室にバナナの木を1本植えた時点では、農業経営は全く考えていませんでした。しかし、広い温室内で徐々に本数を増やすうちに、家族では食べきれない量のバナナが収穫できるように。そこで、食育活動の仲間に声をかけて収穫体験会を開いたところ、とても喜んでもらえたそうです。南国の植物であるバナナの木のインパクトや、石田さんの楽しい解説が喜ばれ、「他の子どもたちにも紹介したい」という声に応える形で、事業化しました。


効率的な働き方を考え、取り組んでいること


農業の「仕事がきつくて儲からない」といったイメージを払拭しようと、極力作業を減らした形での高収益を目指しています。バナナの収穫体験会は、週末や長期休みなど、幼稚園や保育園、学校が休みの日を中心に開催しています。平日は温室の手入れをする程度。実ったバナナは一部を来園者に販売する以外、出荷はしておらず、体験事業に特化した取り組みで、過度な労働を抑えながら持続可能な運営を心掛けています。また、稲沢バナナ園では、農薬、肥料、除草剤を一切使わない「自然と同じ状態」でバナナを育てています。自然界と同じように虫がたくさん生息する畑では、枯葉をカビが分解し、結果、それが肥料となります。このような「自然の循環サイクル」を体感してもらうことや、収穫後の青いバナナの追熟方法を伝えることで、子どもたちが、食べるものや身の周りの環境に興味を持つ、より良い社会づくりを目指しています。


バナナの収穫体験会はどんな取り組み?


経営戦略のポイントとしているのは「集客」の方法です。ホームページやSNSでは、ジャングルのような雰囲気が伝わるユニークな画像や、社会的ミッションを発信しています。「マスコミが取り上げてくれるようなコンセプトを前面に打ち出している」と話す石田さん。「おもしろい活動をしている人がいる」とテレビや新聞、雑誌の取材依頼が絶えず、メディアに出ることで得た社会的信用を、集客につなげています。また、来園希望者には予約前登録をしてもらうシステムを導入しています。現在、登録する会員数は未来園者を含めて約3000人。会員へは、イベントの案内などをメールで配信しています。バナナの収穫体験以外にも「カカオ豆からチョコレートを作る講座」など、好奇心をくすぐる企画を立てることで、イベントは毎回満員となっています。こうした登録システムは、過多な集客を防ぎ、来園者の満足度アップにもつながっています。


収穫体験会の反応はいかがですか?


バナナの収穫体験会を始めて3年目となる現在、年間で約6000人が訪れるまでになりました。最近では団体のお客様が増えてきたことで、収益アップにつながっています。また、スポンサーを募って、幼稚園や保育園の園庭にバナナの木を植える社会活動の展開も始めた石田さん。一定の評価が得られたことを実感しています。


経営していく中で大切にしてきたこと


開業前にミッション・コンセプト・ターゲットの検討を綿密に行い、「この内容ならマスコミに取り上げてもらえる」と確信を得るまで、統計を取り、テストを繰り返しました。石田さんは、「最初にきちんと設計をしたことが良かった」と、成功のポイントを振り返ります。こうした取り組みによって来園していただけるお客様も増え、リピーターとなっていただけていると、石田さんは少しずつですが手ごたえを感じています。

住所愛知県稲沢市祖父江町祖父江南方23番地
代表者名石田守
作目等バナナ
従業員
URLhttp://www.inazawabanana.com/

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