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優良事例集

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知覚動考(トモカクウゴコウ)動いて繋げる地域と農業

つじい農園/辻井義隆さん/次世代継承
大阪府和泉市で江戸時代から続く「つじい農園」の7代目、辻井義隆さんは3人兄弟の長男。いずれは農業をと思いながら、外の世界も知っておこうと東京で営業マンを勤め、30歳でUターン、就農しました。柿・みかんが中心の果樹農家でしたが、新たにハウスを4棟増築し、野菜栽培をはじめました。市場には小ぶりなピーマン系のパプリカが多いため、珍しいオランダ産の肉厚パプリカに挑戦。「つじい農園」=「パプリカ」と言われるまでに成長しています。大阪都心に近い和泉市の地の利を生かし、市場ニーズに対応した商品でファンを増やす辻井さんの野菜は、大阪近郊だけでなく首都圏にも進出しています。

安定収入を目指し取り組んだポイントは


柿・みかんは年1回の収穫で秋冬に限られます。不作時のリスクを避けるためにまず、年4〜6回の栽培可能な野菜で年間通じた安定収入を目指しました。また、重要な販路である直売所の販売品目にも着目。直売所には皆が同じ野菜を作っており水ナスの時期は水ナスだらけ…と同じ野菜がずらりと並んでいました。価格競争を避けるためにも、周りの作っていない品目に特化します。猛暑による不作、作物の病気などの課題を乗り越え、4年ほどかけ、肉厚で甘く旨味の強い自慢のパプリカを安定して収穫できるようになりました。パプリカを柱に、並べている野菜は売り場の賑わいにも一役買っています。


社会とつながる経営スタイルとは?


就農し、閉鎖的な環境を目の当たりにし、危機感を覚えました。黙々と作業に向かう今までの農業では発展が無い。農業の可能性を広げようと積極的に外へ出ます。そして直接消費者と交流をしながらの販売もします。それは元営業マンにとっては苦になるどころか慣れたもの。販路拡大にも活きています。直売所で売れるパプリカを見て「自分もパプリカをやりたい」という生産者さんには「どうぞどうぞ、どんどん作ってください」と止める素振りを見せません。自身が開拓した仕入先と厳選した品種、品質にかける絶対的な自信がのぞきます。


具体的に取り組んだのは、選択と集中


SNSをフル活用し、飲食店にも直接販売をしています。地元飲食店のおかげで、今までお金にならなかった規格外品に価値がつきました。新鮮で安価に入手できると飲食店にも喜ばれており、まさに市場ニーズに合致したWIN―WINの関係です。車で15分圏内の飲食店には自分の都合にあわせてもらい配送。それ以外へは宅配便や仲買等の物流を利用します。農業は原価が決めにくい業種。だからこそ目先ではなく、先を見据えリスクを最小限に抑えます。つじい農園の経営は「選択と集中」。本当にやるべきことを見極めて動きます。餅は餅屋と、使えるサービスをフル活用し社会とつながっています。


強くて、やさしく、楽しい農業とは?


2013年には地域の農業の未来を見据え「強い農業」・「魅力的な農業」を掲げた若手農家団体を立ち上げました。勉強会や販路開拓など、活発な活動の甲斐あって目的達成。メンバーそれぞれが自身の経営スタイル・ブランドを確立し、嬉しい活動休止中です。現在は管理栄養士の奥様と共に、自然に触れる楽しさや食べることの大切さを伝える「食育」も始めています。子どもを中心に、日頃農業に触れる機会がない大人にも農業を身近に感じてもらおうと、農園でイベントや収穫体験を開催しています。そして誰にでも覚えやすいようにと屋号をひらがなにしました。店頭でも「あ、あの農園の野菜!」と小さなファンも増加中です。


受け継ぎながら、取り組んでいることは?


「実家が農家のため、農地や重機、販路を引き継げたことは大きい」と辻井さん。ハウス栽培の設備投資は10年かけて返済中です。農業を初代として始める就農者にはまだまだ高い壁があります。仲間にも新規就農、頑張る若者がおり、刺激を受けながら応援しています。看板商品のパプリカ、次は食育と、挑戦を続ける強みは、東京時代に先輩から学んだ「知(トモ)→覚(カク)→動(ウゴ)→考(コウ)」(「大抵の人は動く前に考え、失敗を恐れて動かなくなる。それでは何も変わらない。考えるまえにまず動こう」ということを意味。)を座右の銘として大切にしていること、それを受け入れる素直さです。考える前に「動く」直感・体当たり型の明るい人柄で、これからも柔軟な発想で大阪・和泉の農業界を牽引していきます。

住所大阪府和泉市
代表者名辻井義隆
作目等野菜・果物
従業員

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