出産をきっかけに「子どもをのびのびと育てたい」と東京からの移住を考えました。実家に戻ろうというわけではなく、山田治郎さんに田舎暮らしをするなら海と山のどちらが良いか尋ねた際、山を選んだことが蒜山へ移住の決め手となりました。職業として農業経験はありませんでしたが「体を使った仕事をしたい」「食べるものを作りたい」と言う治郎さんと、有機野菜・無添加食品の宅配会社に10年勤めた経験がある栄子さん。「食べもの」「畑いじり」に興味があった2人は1年間の農業体験の後、山田農園として事業を開始しました。
「食べた人が元気になる」「食べた人が笑顔になる」「食べた人が幸せを感じる」ことを掲げています。せっかく自分たちでやれるのだから、体に良いもの、環境に良いものをしようと、農薬や化学肥料を使わない有機農業を選びました。栽培方法、販路開拓、価格設定など、まだまだ有機作物のハードルは高いのが現状です。『農家出身ではなく、農業を全く知らなかったからこそできた選択だった』と栄子さんは当時を振り返ります。
黙々熱中タイプの治郎さんは畑の作業、企画・販売等は栄子さんと役割が明確です。基本は2人でこなしますが、繁忙期にはアルバイトさん、パートさん、WWOOF(ウーフ)という有機農家にファームステイしながらボランティアをする仕組みも活用し、地域内に10箇所程ある畑を切り盛りしています。季節や直売所ごとの特徴を見極めた品種選び、店頭POPにも工夫をしており、擬人化をしたやさしい表現や、専門用語を使わない言葉で消費者にわかりやすく伝えています。農家仲間とのネットワーク・情報交換、インターネットの活用、WWOOFの導入等、蒜山という田舎に居ながらにして、外の世界と繋がる高いアンテナと新しいことへ挑戦するバイタリティは山田農園の強みです。
2020年4月で9年目を迎えます。事業の成長方法はいくつかある中、栽培面積の拡大をではなく「今ある資源の中で売上を伸ばす工夫」を追求しています。労働生産性の向上はもちろん、堆肥から緑肥栽培に切り替えることで環境負荷を減らす試みも始めました。面積を増やし生産量をふやすことで質を落としては意味がありません。地域に受け入れもらい、お世話になった方々に失礼のないように。また地域の方々やお客様から寄せられる期待と注目に応えていきたいという真摯な想いで「いかに良いものをお客様に届けるか」挑戦を続けます。
手探りで始めた農業は、治郎さんの地元ということに大きな恩恵がありました。「あそこの息子さんだからとすんなり畑を貸してもらえたり、繁忙期に手伝ってもらえたり。地域密着型でやって来て、今がある」と栄子さん。もっとも助けてもらうだけではなく、田舎に不可欠な地域活動にも参加しています。「お互い様」という思いやりがあるからこそ豊かな暮らしを楽しめるのです。もう一つは資金面。東京で長く働いた上での就農で夫婦に蓄えがあったことは大きく、自身の経験から、近頃新規就農の相談には「資金計画、綿密な準備の大切さ」を先輩農家として助言しています。
住所 | 岡山県真庭市蒜山西茅部785-4 |
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代表者名 | 山田治郎、栄子 |
作目等 | 野菜 |
従業員 | |
URL | https://yamadafarm.com/ |
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