規模拡大・収穫量アップ・収益性の高い品目を栽培することで「儲かる農業」を実現

千葉県旭市にある小島農園は、長男である小島正之さんが就農するとともに「儲かる農業」を目指し、今までの露地中心から施設中心の経営に切り替えました。現在は、社員・パートを含めて12名のスタッフが在籍し、外国人研修生の受け入れもしています。栽培している野菜の6~7割がきゅうりで、その他トマトやチンゲン菜などの数種類の野菜を作っています。野菜づくりに関しては、新鮮で安心安全なものを消費者に届けるために、農薬の使用は必要最低限に抑え、人だけでなく植物や環境にもやさしい土づくりに力を入れ、JGAP指定農場(食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)にも登録しています。

事業継承時の経営課題は?


施設栽培を始める前は、椎茸を中心に露地栽培で野菜をつくっていた小島農園。社長の小島さんの就農時も先代と一緒に同じものを作っていました。しかし、思うように売り上げが上がらないことに悩んでいた小島さん。今のやり方ではいけないと感じたことから、経営のやり方を見直そうと考えました。農園がある旭市は、ハウスの中で冬を越す「越冬きゅうり」の産地で、その生産量は千葉県第一位を誇り国の指定産地になっています。



施設栽培に魅力を感じた小島さんは、周辺がきゅうりの産地であったことから主力品目をきゅうりに変更しました。一から栽培方法を学んで、およそ1年の研修を経た後に、農園にハウスを建て1998年から新たな経営スタイルでスタートしたのです。ハウスをはじめ栽培に必要な設備投資は高額で、全てにおいてマイナスの状態から始めた農業。先ずは収入を上げて経営を安定させることが課題でした。



継承後に目指したビジョンは?


「大きな農家になりたい」そんなことを思い描きながら安定するまでは、がむしゃらに働く日々を過ごした小島さん。4人の息子たちが農業をやりたいと思うような経営をしたいという想いを持ち、それを実現するために経営をしっかりと安定させ、農業の魅力を伝えていかなければいけないと考え、「儲かる農業」と「次世代につながる農業」を小島さんは目指しています。



また、過疎化が進む地域の現状をみて、地域に就職先があれば外に一度出てしまっても戻ってきたいと思ってもらえるのでは、と考えています。そのためには野菜を作っているだけではなく、愛着が持てて働き口のある地域にしていきたいという思いがあります。



収益をあげるために、取り組んでいること


小島農園では、規模拡大をし、それに伴い収穫量がアップ、そして品目も収益性の高いものを栽培することで、小島農園の土台をつくり収益を上げることができました。しかし、野菜は農家でなくバイヤーが値段を決めるような市場性があり、自分が作った野菜に自ら値段を決められないことに疑問を抱いていたといいます。2015年ころから農業人口減少などの要因もあり、バイヤーが直接農家に販売交渉に来るように変わってきました。しかし、そこで出る話は「トマトやきゅうりは一年中卸せますか?卸せないならいいです。」と言われて契約に至らないことがありました。栽培に関しては自信がありましたが、通年等しての安定供給は一人では難しい状況。「安定した供給」がキーワードだと感じた小島さんは、近隣の農家さんとチームを組み、栽培時期の違うきゅうりの栽培をすることで、通年通して欠品することなく納品することができるような仕組みづくりをしました。



量を増やすことで、質が落ちてしまっては良くありません。高品質のものを安定させる為に、環境制御を指導している会社の協力を得て、ハウス内の環境の見える化を行っています。そうすることで、科学的に分析することが可能となり、今まで培ってきた経験と合わせて技術に厚みが出てきました。近隣農家とチームになることで、「安定供給」を実現し、なおかつ量だけでなく高品質なものを納品することで、希望の価格を設定することが可能となり、バイヤーとのいい関係を築けるようになりました。



安定した農業を継続するためには?


規模を拡大し、安定した農業を継続するために従業員を増やしたことで、栽培技術をはじめスタッフの人材教育も必要となっていきました。人と人が一緒に働いて関わり合っていく為には、しっかりコミュニケーションをとることが大切だと気付いた小島さんは、先ずは人としての在り方や道徳心、責任感とやる気をしっかりと持てるように従業員への指導を取り組んでいます。



従業員の菊池さんは、「提案すると“とりあえずやってみな”とやらせてくれたり、虫食いなど問題が発生するとすぐ対応してくれるところがとても働きやすく、モチベーションがあがります。」と話をしてくれました。菊池さんは他の従業員の人が働きやすくなるためのマニュアル作りを提案し、実行しています。そのおかげで小島農園では事業規模に対して人数が少ないながらも回っており、マニュアルによって効率化することを可能としました。



就農後は、毎年コツコツと取り組んで成果を積み上げていったことで、10~15年後には、就農当時と比べると10倍以上の収入になりました。もちろん最初から順調に収入が上がっていった訳ではありません。少しずつ増えていき、それを継続させていった結果だと小島さんは受け止めています。農業は収入が少ないというイメージや、儲からないことがきっかけでやめてしまう人が多いのですが、安定した経営の仕組みをつくり、儲かる農業をしないといけない、と小島さんは考えています。そして「今度はスタッフをはじめ、関わる周りの人達を幸せにしたい、みんなに幸せになってほしい」と、目指すものが少しずつ変わってきたと教えてくれました。



2代目ならではのメリットや強みが活かせたポイントは?


新しく経営方法を変えて機材を購入したこともあってマイナスからのスタートでしたが、農地もあってトラクターなどの機材があったことは、とても有難いです。もともと農家だったのでノウハウがあったことや、親のサポートと協力を得ることができました。今も一緒に農園で働いています。昔からのお付き合いや、地域とのつながりが強かったこともメリットのひとつです。