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定年まで働ける農業を「お互い様の心」で働きやすい職場環境を実現

農業法人株式会社Sun so/尾池章良
人と葱を育てる―。香川県観音寺市の農業法人 株式会社Sun so(サンソウ)は、(以下、Sun so)そんな経営理念を掲げています。レタスやブロッコリーといった秋冬野菜が名産の観音寺市で、あえてネギの栽培に特化したのは、この地に雇用を生み出したかったから。代表取締役の尾池章良さんは、「ネギは、1年間に3~5回程収穫することができるので、安定的な雇用が実現可能となりました」と話します。

人材育成においては、作業の効率化を徹底し、様々なライフステージに対応できるような働き方を提案。全員が支え合いながら輝ける職場を目指し、尾池さんと、取締役で妻でもある美和さん、そして従業員が、日々チャレンジし続けています。



働き方改善を考え、取り組んできたこと



Sun soが目指す経営には、大きな2つのビジョンがあります。それは、「定年まで働けること」、そして、「女性が輝ける職場であること」です。これらのビジョンを叶えるために、これまで試行錯誤を繰り返してきたという尾池さん。そこに共通していたのは、作業の軽減化と効率化の徹底でした。「本気で実現しようとすると、相当大変なんですが、少しずつ成果は出始めています。勤続年数も伸びてきていますし、これからは、キャリア形成にも力を入れていくつもりです」と尾池さんは話します。


仕事と家庭を両立しやすい職場環境とは?


Sun soには現在、パートタイマーと外国人実習生を合わせて、12名の従業員が在籍しています。その内8名が女性ということもあり、仕事と家庭との両立は、避けては通れない課題です。ここでは、特に子育てや介護といった事情を抱える女性でも仕事を続けられるよう、従業員同士がカバーし合える体制が整っているそうです。「家庭の事情で、急に休まないといけない場面は、誰にでも出てきます。



そのため、うちでは、誰が休んでも業務に支障が出ないよう、全員が同じ業務をできるように教育しているんです。そのおかげで、有給消化率も非常に高くなっています」と話します。足りない部分を補い合う姿は、まさに、「お互い様の精神」。Sun soでは、チーム全員で仕事を完遂する社風が出来上がっていました。さらに、美和さんからは、こんな話も飛び出しました。「学校が夏休みになったら、子ども達がうちの建屋に集まって、宿題をやったり、プールで遊んだりしています。子ども達を他所に預ける心配がないのもメリットなんですが、お母さんの働いている姿を見られるのも、彼らにとって、とても貴重な経験なのだと思います」子ども達は、母親の働く姿や作ったネギを見て、思わず尊敬のまなざしになるのだとか。家族からの理解と、尊重の気持ちは、仕事を続けていく上でも不可欠なものなのかもしれません。




また、Sun soでは、採用後のミスマッチを防ぐために、明確で丁寧な求人が行われています。美和さんは、「労働時間や、産休制度など、労働条件を明確に提示するよう注意しています。そして、当然その条件を、私達が実現できなければなりません」と話します。さらに、「うちでは、入社の前に、職場見学や仕事の体験をしてもらうんです。職場の本当の雰囲気も分かりますし、本人に納得してもらった上で入社してほしいですからね」と尾池さん。人手不足が叫ばれる今、より多くの人に、農業の世界に足を踏み入れてもらうためには、採用する側の誠実さが求められているようです。


従業員自身がスキルアップするしくみは?


Sun soでは、昨年から、人材育成と生産性の向上を目的に、作業の「見える化」に力を入れています。「見える化」とは、作業効率の計測や分析を行い、数字のデータとして従業員に提示することです。以前から、業務量のノルマは設けていたものの、単に作業のスピードを上げるだけでは限界があると感じていました。日々の業務を詳細に分析することで、具体的な改善点が見えてきました。尾池さん曰く、「数字という根拠をもって指導することで、従業員自身も自分の課題を明確に把握することができ、モチベーションの向上につながっています」とのこと。作業にもばらつきがなくなるので、能力の全体的なベースアップも期待できます。もちろん、数字のデータを理解する力は、従業員にも求められます。そこで、Sun soでは、ランチミーティングによる勉強会を開催することで、従業員の理解向上に努めているそうです。




さらに、美和さんは、従業員のモチベーション向上のためには、「自分の作ったネギが消費者に届いているという実感が欠かせない」と話してくれました。自分の作ったネギが、どこでどう使われているのかを知れば、多くの従業員が、より綺麗で、よりおいしいネギを作ろうという気持ちになるのだそうです。「自分が農業の一端を担っている」という喜びを直接感じられるのも、農業のひとつの魅力のようです。


農業の魅力や強みはどんな点?


尾池さん夫妻は、農業には、あらゆる可能性が潜んでいると考えています。「農業は、世界中の人や産業とつながることができる仕事です。そして、そのつながりを自ら見つけ出し、選択していく所に農業の楽しさがあります」と話す章良さん。さらに、これを受けて美和さんは、こう続けます。「自分がどう選択していくかで、農業人としての人生は大きく変わってきます。けれど、いずれにしても、その全てを楽しめる人が農業に向いているのだと思います」人材育成や女性従業員の活躍が評価されたSun soは、「農業女子PJAWARD2016」、「WAP100 2016」を受賞しています。



しかし、まだまだ組織として、成長過程であると感じているそうです。どうすれば、従業員が農業を楽しめるのか・・・。どうすれば、農業の世界で人材が輝けるのか・・・。Sun soは、これからもチーム全員で、この課題に挑戦していってくれるのではないでしょうか。

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