これからの農業をリードする個性派集団

株式会社アグリスリー/實川勝之
株式会社アグリスリー(以下、アグリスリー)は、千葉県山武郡横芝光町にある農業法人です。代表取締役の實川勝之さんは先代の次男でした。パティシエの仕事に就いていましたが、先代のケガをきっかけに、農園を継ぎました。「農業をする上で一番大切にしていることは『清潔感』です」農業のイメージを変えたいという實川さんの設立当時から想いです。農業経営の矛盾やイメージ、閉塞感…この問題をなんとか解決したい———個人経営から2011年、株式会社アグリスリーとして登記しリスタートしました。

實川農園から受け継いだ「米」「野菜」に加えて「梨」を主力に農地を広げ、梨園は観光農園「梨工房城山みのり園」として梨の木のオーナー制度、もぎ取り体験などイベントを行い、加工商品、カフェ経営など多角的に事業を展開しています。若い社員、スタッフを中心に独自性を活かした事業展開。個性派集団を束ねる實川さんは仲間たちと自社の経営に留まらず、地域の課題、農業全体の課題も俯瞰し挑戦しています。




目指している新しい農業スタイル


豊作貧乏…實川さんが農業を始めた頃に経験し、農業経営の矛盾をつくづく感じたそうです。「これからは自分で作ったものを直接消費者に販売する直売方法だ」と奮起。新しい農業のスタイルを目指そうと立ち上がりました。設立当時、社名は「アグリカルチャー×パティスリー」の掛け合せでした。事業が拡大し会社の根幹の部分がパティスリーの意味だけでは収まらなくなり、そこで社員が一丸となって改めてブランドコンセプトを考えたのが「3つのアグリ」です。アグリカルチャー(agriculture)地域の農業文化を守る、アグリネーチャー(agrinature) 自然と人を農業を通じて繋ぐ、アグリフューチャー(agrifuture) 農業を憧れの職業にする。




「顧客の多様なニーズに応え、無くてはならない存在を増やすことが私たちのビジョンです」實川さんは業界内外にアンテナを張って農園にじっとしていません。「日々ふらふらしてます(笑)」そこから次のアイディア、仕事、気づきが生まれます。農業に悩みはつきもの。個々の悩みを農業全体の課題と考えます。「アグリスリーが目指す6次産業化は『地域連携型』『都市部連携型』の2つの軸です」6次産業化の連携型…聞き慣れない言葉です。どういうことでしょうか。「国は6次産業化を推進しているけれど、どこの農家さんでもできるとは限らないと思うんです。




生産のプロ、加工のプロ、流通のプロに特化した人たちがいて、誰もがやることはすごく大変なことです。だから、やりたくても出来なかった農家さんの加工を手伝うなど、自社だけの加工事業だけでなく地域の仲間を巻き込みます。広がれば地域の力にもなります。これが地域連携型です。都市部連携型は都内の飲食店、食品メーカーさんとのつながりです。たとえば洗う、殺菌する、蒸す…などニーズに合わせ使いやすい状態にして納品します」個人から企業まで多様な人と繫がり、経営に活かしています。


女性が働きやすい職場環境への配慮とは?


「農業というと、どちらかというとガテン系、泥臭いイメージです。それを変えたいんです。パティスリーのような清潔感や整理整頓された環境を目指しています。きたないケーキ屋さんってないですよね。宝石店のような洗練されたショーケースにパッケージされたデザイン…そういうことも含めてです」作業場では、清掃を徹底し、清潔な環境にしています。屋内外のトイレや休憩室、シャワー室などを完備。遠方からの就職支援のため、会社住所のシェアハウスタイプの社員寮も整備しました。



女性が働きやすい職場づくりにも配慮し、作業台の高さの調整、女性も操作がしやすいオートマチックの軽トラックの導入など、さまざまな方策をしています。またカフェと加工場では地域の子育て世代の女性を雇用し、時短勤務やフレックス制度等を導入し、柔軟なシフト管理に対応しています。社員は基本的に月曜から土曜の勤務。ときにはマルシェやイベントの出店で日曜出勤のこともありますが、そのときは平日に振り替えで休日をつけています。農業は職人的な仕事でなので実力主義の世界ですが、アグリスリーでは周りの応援を受けながらスキルを高めていけます。


従業員の個性を活かす具体的な取り組みとは?


アグリスリーは社員の独自性を大切にしています。個々の独自性こそが自社経営に活かせる部分が多くあるからです。「一人一人のパフォーマンスを最大に活かせるように」と實川さんは考えます。社員は全員、非農家であり、それまでの職業、経験は様々です。個性のぶつかり合い、みな同じ考えではないことを前提にしています。それをまとめる楽しさがあるそうです。



「個性的な人材が入ることで農業の魅力が上書きされていく感じがするんです」例えば、3年目になる広報部に所属する三宅さんは語学を学ぶ学生でした。一人暮らしをする中で、食から農業へ興味が移り、マーケティングを専攻したことから農業の営業や広報をやりたいと思うようになりました。アグリスリーに入社し、ときに生産もやりつつ、宣伝用の映像やカフェのメニューなどやりたいことができています。


「多くの農家さんが必要な雇用は「農業=生産」である中でアグリスリーは農業の仕事に幅をもってみてくれます」と三宅さんはいいます。「100点満点の人なんていない。尖っている程いい。綺麗な丸の人は飛び抜けない。へこんでいる部分をどう社内でカバーしていくか、私の仕事です。一人一人が持っている個性を尊重しながら全体で丸になればいい」考えの違いがあっても方向性は間違わないようにする。舵取りを實川さんは担っています。それぞれの持ち味が新しい発想を生み強いブランドにしています。


「全ての事業はご縁によって生まれています。どんな高価な機械より人が大事です。自分一人ではなにもできない。頑張ってくれている社員がいるからできることです」アグリスリーだから出来ること、叶えたいことがある人、明確な目標がある人…そんな人たちが集まっています。農業未経験から入社しても、チームワーク重視でなので苦手な部分は仲間がカバー。働きながら学び、実践を積みキャリアアップしていけます。農業をフィールドに社員の持つ個性と価値を伸ばし、輝けるよう応援します。若い社員構成のエネルギッシュな職場は、女性も活き活きと活躍し、女性から生まれた事業も展開しています。




「人から学び、情報も得て積み上げて会社を大きくしていきたいです。得意なことをやったほうがみんな楽しく仕事ができ、価値を十分に発揮出来ます。個々が活躍出来る場所を作ることは会社にとっても、働く人にとっても大きなメリットがあります」目標に向かってチャレンジする人に格好のフィールドが用意されています。


アグリスリーが目指す農業経営とは


「いろいろなことができる会社です。個性と多様性を大事にしています。若手でも活躍できる様々な部門があるのが特徴です」アグリスリーは固定観念にとらわれない自由な発想を大切にしています。たとえば主力の梨の栽培は「2本主枝一本字仕立て」という栽培法で香りと甘みの強い梨を作ります。



この高品質な梨の可能性をさらに追求し、加工品にはむかないといわれた梨ですが、そこを逆手にとっての商品開発します。スパイスと合わせたジャムやマスタード、カレー…パッケージにもこだわり、他と違ったキラリと光る商品が生まれました。「6次産業化をさらに発展させ地域に雇用が生まれるまで強い産業に成長させ、新たな名産品を生みたい、地域になくてはならない存在にしていきたい」と意欲を燃やします。農業を生産だけでなくクリエイティブに!期待される農業スタイル。アグリスリーの展開に今後も目が離せません。