「美味しい」「安全」は大前提で、持続可能な農業を実現するためにも、「どこにどんなものを売るか」、「お客様の満足につながるか」、ということを考えることによってドロップだけの付加価値のあるトマトを提供しようと考えています。異業種からの転職で、農業経験ゼロからのスタート。だからこそできる、「新しい農業をつくる」ことを目指しています。
商品を作るだけではなく、作った従業員が接客販売することがあります。生産者であり、販売者でもあるのです。そのため、採用の時に意識しているのは「笑顔」と「コミュニケーション力」。また、ご自身の妊娠出産をきっかけに、女性が働きやすい環境の職場をつくりたいと思った三浦さん。子どもがいると子ども優先になり、子ども優先になるということは時間優先になる。時間に制限があることの多い女性が働きやすい環境をつくるため、従業員の人数を通常の2倍にしました。1人が8時間働くのではなく、2,3人で8時間というワークシェアのような形です。そうすることで幼稚園に行っている間に少しだけ働く、といった無理のない働き方が可能となります。
そして、日数が空いた人でもすぐに働けるように業務をマニュアル化したことで、1日3時間働く人や、月に3回出勤の人もいます。さらに、時間の面だけではなく、従業員の方の気持ちのケアも意識しています。「今日やったこと」「感想」「今不安なこと」などを手書きで日誌に書いてもらい、それをマネージャーが確認して、三浦さんもシェアしています。内容はもちろん、筆跡などからも「最近悩み事があるのかな?」と変化に気づくことができます。従業員の方の無理のない働き方ができる環境作りの結果、創業当時から働いている人も多く、今まで旦那さんの転勤や留学というやむを得ない事情以外はやめた方がいません。
一般企業で働くのと変わらない基準で、という考えでやっています。評価性で、売り上げがたったら賞与として還元しますし、月に7日休みで有給もあります。夏休みも5日間。「なるべく旅行に行くこと」をすすめています。その理由は、その経験が視野を広げるきっかけになるからです。ドロップでは、「さすがドロップファームだよね」と言われるような一流のホスピタリティを目指しています。そのために、休んだり旅行に行くことで、発想力や生産性の向上にあてて「満足する」とはどういうことかなど考えるきっかけになればいいなと考えています。
プライベートの充実は、いい仕事につながるのです。また、残業は基本的にはせず時間になったら途中で帰って良いというルールにしています。本人の希望による残業の場合には、1、2時間以内であればOKとしています。
「働く」に対する価値観は人によって違います。生活のため、夢に向かうため、人やトマトと関わるのが好きだから、様々な理由でみんな働いています。そんな一人一人の価値観を汲み取ってあげられる環境作りをしています。その中で、一人一人の強みを活かすこともモチベーションに繋がると考えています。
例えば、三浦さんは今までの経験をいかした「販売力」が強み。マネージャーさんは写真を撮るのが得意というので会社で使う写真を任せてみたり、お菓子作りが得意なパートさんにはカフェができた時にはメニュー作りをお願いしようと思っています。また、自分たちが作ったものをプロデュースして商品化し、その商品をお客さんがどう評価してくれるのかを体感してもらうというように、「直接お客さんとふれあう機会を作る」こともモチベーションの向上に繋がると考えています。
今までは経験経験と言われていた農業ですが、ICTの導入により、いろんな部分が見える化され、栽培に対する判断基準が増えてきました。経験がない素人でも、勉強して、システムを整えて、指導してくれる人がいれば農業を始められる時代となり、ドロップでは、最新技術を入れることで、残業をせず、女性が働きやすい環境を整えることができました。
それに加えて特に大事だと考えていることは「強み」と「軸」です。農業経験者ではない従業員の方が多い中、一人一人の強みを活かすことで「新しい農業」が生まれます。ゼロから1を生み出すのが農業。生み出したものをさらにどうするかは自分たち次第、というのが“究極の販売業”だな、と思っていると三浦さんは話してくれました。
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