農業界ではチャレンジ!終身雇用が出来る会社づくり

株式会社ベジアーツ/山本裕之
株式会社ベジアーツは、これまでの農業では無謀とも言えるような、「終身雇用できる会社を目指す」というスローガンを掲げ、長野県北佐久郡御代田町で8年目を迎えます。代表取締役の山本さんは、ご自身が独立希望者を育成しながら仕事を進める中で、独立希望者が巣立つときにすっかり自分の右腕になっていたことに気づき、その後の仕事のペースが保てなかったという苦い経験から、終身雇用できる農業の実現に向けて試行錯誤を続けてきました。

四季があり、作物ごとに作業の集中する時期が異なり、日々天候との戦いでもある農業において、1年を通じて労働量をできるだけ均等にし、また従業員が安心して長期的に働くことができるように・・長野県北佐久郡の環境を最大限に生かしながら、ベジアーツの骨組みは少しずつ作られていきました。



これから先の農業を考え、取り組んでいること


ベジアーツの主力であるレタス栽培は朝採れの新鮮さと美味しさを大切にしてお客様にお届けしています。そのため、女性や年配の従業員にとって負担となる場合もあることに気づきます。そこで、作業の負担が少ない作物への取り組みをはじめたいとの思いから、パクチーの生産を始めました。パクチーは近年需要も高く、何より軽いので体の負担が少ないメリットがあります。現在は、専任の女性スタッフを中心に徐々に栽培量を増やしているところなのだそうです。




また、社員の採用の仕方については、企業説明会への参加や求人サイトへの登録など、ひとつひとつ試しながら歩んできました。若者に興味関心を持ってもらうためにはどう発信すべきか・・考えた末に、大学生向けにプレゼンテーションを行い意見をもらったこともありました。そこで、農家ではなく農業法人であることの重要性も実感し、社名も新たに株式会社ベジアーツとして動き出したのです。


効率的な働き方への環境づくりとは?


ベジアーツには、年間休日カレンダーがあります。中でも目を引くのは、年末年始にある3週間の長期休暇です。この期間は交代制ではなく全員が仕事を休みます。そして、ゆっくり家族と過ごしたり、好きなことをして過ごす期間。外国人実習生は母国に里帰りすることもできます。日頃できないことにも挑戦できる長期休暇を社員全員が楽しみにしているのです。




ベジアーツでは、労働時間を着実に減らしていくことにも成功しています。成功をもたらした鍵は、適切なパート人材の配置でした。労働状況を改善していくためには、社内の誰をいつどの作業に配置するか、常に会社全体の効率を考える必要があるのです。また、農作業の進度や作物ごとの生育状況をアプリを使って記録管理することで、従業員数が増えた今も社内での共有がしやすく効率良い仕事に繋がっています。


従業員が自ら考える「まかない農園」ってなに?



山本さんは従業員のやってみたい!という気持ちを試せる場、コミュニケーションを生む場を作ろうと、飲食店の「まかない飯」にならって「まかない農園」をはじめました。専任の担当者は、好きな作物を植え、育てることができるのです。育った作物を使って焼き芋やBBQなどイベントを催したり、まかない農園は懇親の場としても役立っています。農業は基本的に1年サイクルで作物を育てるため、新しい品種や作物に挑戦するのは大きな負担でもありますが、「まかない農園」は、そういった面での試験的な役割も担っているのです。


経営していく中で大切にしていること


山本さんは終身雇用できる農業を目指す一方、すべてが会社らしくシステマチックであれば良いかと言うと、そうでもないと感じています。というのも、たくさんの職業の中から「農業」を選び、ベジアーツの門を叩いてくれる従業員の多くは、自然に合わせた農業の魅力や価値を高く持っているのです。



そのため、農業の本質やしきたりなどを端折ることなく楽しみながら伝えていくことも大切にしています。こうしたベジアーツの理念は、挑戦と失敗を繰り返しながら一つひとつ作られていったのです。山本さんの経験に基づいた確固たる理念を大切に、ベジアーツはこれからも働きやすく、満足度の高い農業を追い求めていきます。