女性が働きやすい会社にしようと、全員女性の職場へ

ウーマンメイク株式会社/平山亜美
「おいしい野菜とともに、次世代をも女性が作る」という想いからつけられた社名の通り、「従業員が全員女性」のウーマンメイク株式会社(以下、ウーマンメイク)。「おいしい野菜を作る」という目標のほかに、「女性が働きやすい環境をつくる」ことを目指しています。 軽量の野菜であるレタスを水耕栽培することで力仕事をなくし、女性の力だけでできる農業を実現。野菜の最終的な購入者の大半が女性だからこそ、女性ならではのアイデアや細かさを商品作りの企画や売り方にまで生かしています。その結果、経営的にも成功しており、女性が農業を就業先の選択肢に挙げられる道を作っています。障がい者雇用も積極的に行っていることから、2018年に第5回ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の優良事例に選ばれ、さらにアクティブ賞も受賞しました。アクティブ賞とは、優良事例の中でも特に「女性や高齢者、障がい者の活躍がその活動の大きな原動力となっている優良事例」に与えられる賞です。

未経験でレタス栽培をすることに決めたきっかけは?


平山さんは元々化粧品の会社で働いていましたが、妊娠をきっかけに会社を退職。一人で子育てをしながらできる仕事はないかと模索していました。異業種交流会のような集まりに何度か足を運んでいたとき、大分県内に道の駅を作ろうとしている人たちとの出会いがありました。大学の時、観光に絡んだ語学の勉強をしていたのと、POP作りなどデザインも得意としていたため、自分がやってきたことが活かせるかもしれない、と参加することに。勉強のために全国の道の駅を見て回って、「直売所に物がどれくらいあるか」でお客さんの数と売り上げが変わることが課題として見えてきました。



売り先があれば、農家さんは作ろうと思ってくれるはず、と周年を通して地域の人が出荷できる体制作りを考え運営をしていました。その頃、この地域で30年近く農業を続けている農業法人の上原農園さんとの出会いがあり、「どうせ農業するなら、儲かる農業をしないと続かないよ。」と言われたことがきっかけで、「稼げる農業」とは一体どんなものか、他県まで視野を広げて上原農園さんの知り合いの農家や農業法人、農家レストランに連れて行ってもらいました。そして一緒に農業を始めよう、と集まった仲間が全員女性だったのもあり、軽量で比較的女性でも取り扱いやすい、また育てやすさという面からもレタスの栽培を決めました。レタスの栽培法を指導してくれる方にも出会い、2015年ウーマンメイクが生まれました。


目指した会社のスタイルは?


事業を始めるための資金繰りで補助金を申請してみたり、従業員が集まらない時は上原農園さんのパートさんに手伝ってもらったりと、日々目の前の課題を一つ一つこなしていくのに精一杯だったと言います。「全部準備が整ってからのスタートではなかったのが逆によかったのかもしれません。」と平山さんは言います。事業費が1億を超えることも、当時は額の大きさの実感がなく、臆せず進めることができたそう。女性は子育てや介護など、それぞれ様々なライフスタイルがあります。



どれくらいの人数でどれくらいの時間働けば回せるかも手探りの中、とりあえず働ける希望時間を一人一人に聞いて働いてもらっていました。その結果、シフトが把握しきれなくなってしまった時もあったそうです。しかし、時間が経つにつれ従業員の熟練度も上がり、当初17時までかかっても終わらない作業が、12時に終われるようになっていったり、シフトも一人一人しっかり希望をヒアリングしていたお陰で、様々な希望のスタイルがある事を把握することができました。現在は5つの時間帯を設けて、自分に合ったシフトを選択できるなどの制度が整い、従業員の満足度が上がったそうです。


目指している女性が働きやすい職場づくりとは?


ウーマンメイクでは、大きく2つのことを実践しています。1つは「求職者の女性が置かれている状況だけで判断しない」。ということ。自身もシングルマザーの平山さんは、子どもに左右されがちという先入観から、事業者から敬遠されることもあるシングルマザーの就職希望者を積極的に採用します。地域のハローワークの方もその想いを理解していて、シングルマザーの求職者がいると、「ウーマンメイクさんは働きやすくていい会社さんだよ」と紹介してくれるそう。従業員の後藤さんは、「本当に働きやすい会社。働きたい女性はみんなウーマンメイクに来たらいいのにって思っています。」と笑顔で話してくれました。



もう1つは先述した、「従業員の希望で時間の融通を利かせる」ということ。パートは1日3時間を週3日など、出勤日数や時間を選べるようにしています。やる気はあっても子どもの都合で休みが多くなった社員を役員にして、時間で成果を計らないようにしたこともありました。「(子育てや介護で)状況が許さないけれど、やる気があって働きたい、という本人の気持ちを理解し寄り添いたい。長い目で見れば長く働き続けてもらうことは会社にとってもプラスになります」と、平山さんは語ります。ほかにも、子連れ出勤可能、シャワールーム完備、月に一回のランチ会や自分の誕生日の日に種植えをする社内イベント開催など、女性が働きやすい環境を整えています。


新規就農してからの事業の成果と成功の要因は?


2015年立ち上げ時の5人から、現在は17人に増えました。売り上げとしては、実質稼働を始めた2016年は4200万円、2年目 6200万円と黒字が続いています。利益を出しながら、雇用の拡大、地域発展を着実に実現しています。ウーマンメイクのレタスが選ばれる理由には、企業努力がありました。「女性だけの会社でつくっています」と言っても、選ばれる理由にはもちろんなりません。ウーマンメイクは女性の会社。そこで、エンドユーザーである女性が欲しいと思う商品を、自分たち自身に置き換えて考えることをはじめます。その強みと持ち前のデザイン力を生かして、手に取りたいと思わせるパッケージ作りを意識して販売したところ、売り上げは上がり、バイヤーの反応も良くなりました。また、ウーマンメイクのレタスは苦味が少ない、という声も耳に入るようになり、味の面でも選んでもらえるようになっていきました。



「ここまでこられたのも、人と人との繋がりが大きい」と平山さんは言います。道の駅構想での出会いがウーマンメイクを始めるきっかけになり、「若い人が頑張っているなら応援したい、地域に元気を取り戻そう」と応援してくれた上原農園さんとの出会いがあり、共同の事務所・作業場を作ることができたり、販路の確保に繋がったりしました。地域の繋がりの強さも心強く感じています。今後は、レタスの他にほうれん草の栽培を始め、ハウスを増やすなどさらなる事業拡大を目指しています。


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