コミュニケーション力の高さが、美味しさにつながる

株式会社オキス/岡本孝志
「大地のものはすべて真に活かし、すべて人を誠に活かしつつ、そのすべてをエネルギーに変えて、企業を育み、郷土を元気にする」。これは株式会社オキス(以下、オキス)の掲げる企業理念です。オキスは鹿児島県大隅半島の鹿屋市にあります。温暖な土地には、多品種の野菜が育ちます。物流会社である株式会社岡本産業は、大隅半島で荷を降ろした後のトラックに何か載せることで仕事が生まれないかと考え、野菜を運搬する事業を立ち上げました。やがて、輸送効率を上げるため「乾燥野菜」の加工に挑むこととなり、新たに株式会社オキスとしてスタートしました。オキスの誕生により、加工場のなかった鹿屋市に新たな産業が生まれました。

目指している経営や大切にしていることは?


自社の強みは、6次化による一貫した工程を自社で完成できるからこそ、消費者に安心を届けられることなのだと岡本さんはいいます。工場へ運び込まれる農産物は近隣の農家さんの育てる野菜が中心です。「昨日は夕方ゴーヤがカゴいっぱい届いてたなあ。」農家さんが持ち込む野菜は季節によって種類も量も様々。「トラックでコンテナ何杯も運んでくる方もいれば、唐辛子を両手にのせて持ってくる農家さんもいますよ。うちはどんな量でも、形が揃わなくてもどんなサイズでも加工できるので受け取ります。農家さんたちの助けになればと思うんです。」




そして、農家さんには何をどれだけ作ってください、というお願いは一切していないといいます。「みなさん規模も違うしそんなこと契約できないでしょう。農家さんには協力してもらっているんです。つまり『契約農家』ではなく『協力農家』なんです。」そして協力農家さんが育てていない野菜を自社農場で育てることで乾燥野菜のラインナップを充実させているのです。また、全国の大学生を受け入れ、ごぼう引き体験や芋掘り体験を実施。20、30年以上前からずっと留学生と一緒に「汗・土・潮」をスローガンに交流も進め、一緒になり汗を流して地域と外を繋ぐ地域活性化に努めています。


労働環境の中で特に気をつけていることは?


「女性の従業員が多く、子育て中の方もいますし、できるだけ家庭を優先できるよう、基本的にはカレンダー通りに休めるようにしています。」とおっしゃる工場長の福田さん。乾燥野菜の工場は、野菜の種類によっては乾燥時間が長時間になるものもあり、その際には工場勤務の従業員を交代制で対応しているんだそう。工場にお邪魔すると女性従業員の皆さんが和気あいあいと作業されていました。




社長と工場長もすっとその輪に入られて、あっという間に賑やかに!なんて風通しの良い会社なのでしょう!工場長に尋ねると「社長も私も工場を離れる日が多いので、従業員と一緒に過ごせるときはできるだけコミュニケーションをとって、いつでもいろんな声が出るように心がけていますね。」とのこと。「360キロ」と書かれたコンテナには形も大きさも様々なかぼちゃがぎっしり。半割りにして、さらに半割りに、そして専用の道具でタネを取り・・軽快な手の動きと皆さんの笑顔が印象的でした。


従業員のモチベーション向上につながっているのは?


「1年通じて扱う野菜の種類は多く、加工の仕方も全て異なるので、そのたびに工場のレイアウトも変えるから、まあ大変なんですよ!」笑いながらも岡本社長に訴えるように話す工場長。「僕は任せっきりだからね。」と笑顔で応える岡本さん。この関係こそがオキスの風通しの良さであり、従業員を信じ、任せることで責任者が育っていくという仕組みそのものです。また、大手企業からのインターン希望者も多く、積極的に受け入れることで、従業員の刺激にも繋がっています。



株式会社オキスの強みは?


乾燥野菜といえば昔ながらの切り干し大根が真っ先に思い浮かぶかもしれません。オキスの乾燥野菜は種類が豊富で、「味噌汁」「ひじき煮」「炊き込みご飯」などひと手間加えるだけで家庭の味ができあがるように、素材を組み合わせた商品も充実しています。乾燥野菜は軽く、常温保存ができるので、買い物に出にくい子育て中や年配の方にもおすすめです。また、震災時の非常食としても欠かせません。



熊本地震の際には、乾燥野菜を自衛隊へ直接手渡すことで、炊き込みご飯として提供できたそうです。乾燥野菜だからこそトラックが入れないようなエリアにも、自家用車で7000食分運ぶことができたのです。野菜の粉末も手がけているオキスは、離乳食や介護食にも力を入れ、鹿児島の大地のめぐみを今の時代に沿った形で全国に、そして世界へ届けます。


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